一橋大学で働くということ

現役職員によるホンネ座談会

一橋大学の職員って、どんな仕事をしてるんだろう。職場の雰囲気や人間関係は? 私立大学や企業と何が違うんだろう――。
一橋大学への就職を考えているみなさんの疑問に答えるべく、最近採用された現役職員による座談会を実施し、志望動機や実際の業務内容、職場の風土や人間関係などについて本音で語り合ってもらいました。コーディネーターを務めるのは、平成29年度採用の平賀瞬さんです。

プロフィール紹介

職員職員 財務部経理課経理係長
平成29年10月1日採用。
大学卒業後、清涼飲料メーカーで主に人事担当として6年半勤務し、本学に転職。 学生支援課(奨学事業)、商学部・経営管理研究科事務部(大学院教務)勤務を経て、現職。 現在は、大学が外部から獲得する研究資金(国、独立行政法人、地方公共団体、民間企業等から提供される、科学研究費補助金、寄附金、受託事業費等)の受入や業者への支払など、日々の収入・支出を管理するほか、経理課の筆頭係(※1)の係長として、複数係にまたがる照会事項の調整・取りまとめや、課員の勤怠管理等の事務を行う。
※1 筆頭係…事務組織規則に従って名前を書き連ねたときに第一番に挙げられる係。多くの場合、その課・室の「お世話係」(総務担当ともいう)として、誰がやるのかはっきりしないその他の業務の取り仕切りを担当する。

職員職員 総務部総務課総務係
令和4年10月1日採用。
大学卒業後、旅行会社で営業職として1年半勤務後、家業手伝いを経て本学人事課にパートタイム職員として勤務。一般職員採用試験に合格し、正規職員として本学に就職。 卒業式・入学式などの重要な式典を企画・実施するほか、筆頭課の筆頭係として、全学会議の運営、代表電話や代表メール等の窓口対応、複数部署にまたがる照会事項の調整・取りまとめを行う。


職員職員 総務部広報・社会連携課広報係主任
令和3年10月1日採用。
大学卒業後、私立大学で主に教務業務に約10年従事した後、本学に転職。 広報担当者として、ウェブマガジン「HQ」、大学概要、英文パンフレット、大学ウェブサイトやSNS公式アカウント(Twitter、Instagram、YouTube、Facebook)の企画運営事務や、取材対応等を行う。


職員職員 総務部人事課人事係
令和5年1月1日採用。
大学卒業後、損害保険会社で営業職として4年9か月勤務し、本学に転職。 主に、職員の採用、退職、異動等を学内外に発布・公表する「発令」を行うほか、事務職員の採用試験の運営や、大学の人事制度を検討する会議の運営事務を担当する。また、人事課の筆頭係として、複数係にまたがる照会事項の調整・取りまとめ等を行う。

職員職員 総務部人事課労務係
令和2年4月1日採用。
一橋大学経済学部を卒業後、新卒で本学に就職。 経理課(収入・支出管理)勤務を経て、現職。 現在は、大学職員の人材育成、人事評価、勤務時間管理、職場環境管理等の労務管理の取りまとめを行う労務係で、就業規則(※2)の見直し・改正手続きや、勤怠管理システムの保守・運用・問い合わせ対応、職員研修の企画・運営を行う。
※2 就業規則…職員の労働条件に関すること、職場内の規律などについて定めた職場における規則集で、労働基準法により作成が義務付けられているもの。

職員職員 学務部学生支援課宿舎管理係
令和4年10月1日採用。
大学卒業後、複合機メーカーで営業職として2年半勤務し、本学に転職。 主に学生寮への入退寮、寄宿料の徴収、学生寮におけるトラブルの対応、外国人留学生の日本入国後の転入手続きのサポートを行う。親元や母国を離れる学生が安心して学生生活を送れるよう、ホスピタリティ精神を心掛ける。


誇張ナシ、本当の志望動機は?

平賀:さっそくですが、本学を志望した理由を教えてください。みなさん採用面接では多少誇張していると思いますが、今日はそういうのはナシで。本学を目指した本当のきっかけは何でしたか。
城山:面接で誇張したということは決してありませんが(笑)、私は、前職が損害保険会社で、学生の頃は所属サークルの友人や先輩がみんな金融業界を志望していたこともあり、自然と自分も金融業界を志すようになっていました。損害保険会社で働きながら同期と情報交換する中で、大学の事務職員がいいらしい、というようなことをチラッと耳にして、興味がわいたのがきっかけです。
時田:私はもともと旅行会社で営業職をしていたのですが、実家の家業の都合で退職し、落ち着いてから働き先を探していた時に、一橋大学の非常勤職員の募集を見つけて、応募しました。学生をサポートする仕事に興味があり、学生時代は派遣留学生をサポートするボランティアをやっていたし、旅行会社でも修学旅行などの教育旅行を手掛けていたので、大学での仕事もきっと楽しいと思って。非常勤職員としては人事課勤務だったので、想像していたような学生との触れ合いはなかったんですけど、「ああ、こういう仕事があるんだ」と、大学の仕事の幅の広さを知りました。当初は正規職員になることを考えていたわけではなかったけど、人事課での勤務がとても楽しかったので、応募することにしました。
谷口:僕は、人が幸せそうだと自分も幸せっていう、典型的な「ハッピー野郎」なんです。前職の複合機メーカーの営業は、顧客である企業の働き方や職場環境の課題に対するソリューション提案を通して、みんながハッピーになれる仕事でした。ただ、営業職ってやっぱり数字がすべてみたいなところがあって、漠然と、自分は営業には向いていないんじゃないかと考えるようになりました。じゃあ何がしたいのかを探るなかで、大学って人をハッピーにすることを目指す組織なんじゃないかと思い、魅力を感じていた時期に、ちょうど本学の採用案内が出ていた。調べてみたらグローバル人材の育成やアクティブ・ラーニングの積極的な推進など、日本の学界をリードする存在だと思い、応募を決めました。
前川:私は前職が私立大学だったんですが、人事異動がほとんどなかったため、採用から10年ほど、ずっと教務課の配属でした。スペシャリストを育成するにはいいかもしれませんが、私は大学運営を多角的に理解したかった。また、自身のキャリアアップのためにも、転職しようと決意しました。令和3年4月下旬頃、国立のカフェでお茶をしていて、「近くにある一橋大学は魅力的だけど、募集はしてないんだろうな」と思いつつ、気まぐれにウェブサイトを見たらちょうど採用案内が出ていて、この出会いに「応募するしかない」と思いました。
平賀:相原さんは新卒で入職されたんですよね。
相原:そうですね、一橋大学を卒業して、入職しました。
平賀:本学の卒業生なんですね。
職員 相原:実は、僕は就職浪人していて、卒業から1年後に入職しました。就活1年目は、周りのみんなが商社や金融に進路を固めていくなかで、そういう仕事が自分に向いているんだろうかという迷いを持ちながら就活していたので、やっぱりうまくいかなかった。2年目は自分の進路をじっくり考えて様々な就職説明会に行っていて、そのなかで一橋大学の合同就職説明会に行ったときに、たまたま本学卒業生の職員さんがいて、「一橋大学への愛があれば大丈夫」と背中を押していただいたので、目指してみることにしました。
平賀:私は清涼飲料メーカーでの採用業務を通じて、人・物・金といった経営にかかわる業務にもっと携わりたくて転職先を探していました。前職では広報活動で大学を訪れることもよくあったので、大学もいいなと。正直なところ、絶対に一橋大学がいい、と思っていたわけではないです。いくつかご縁をいただいた中のひとつでした。

採用試験はどうだった? 採用担当職員の印象で志望度アップ

谷口:僕は、本学を含めて3大学で選考が進んでいたんですが、一番先にご縁をいただいたのが本学だったので。ここは採用選考で筆記試験があるじゃないですか。僕、筆記試験が全然できなかったと思ってたんですよ。それでも面接選考に進んだので、やっぱりご縁だなと思って。
平賀:筆記試験の対策はしていたんですか?
谷口:国立大学法人等職員採用試験の対策本で勉強はしてましたが、難しくて。みなさんはどれくらい準備されたんですか?
相原:僕は1年就職浪人しているので、その間に国立大学法人等職員採用試験の勉強をしていて、期間としては2~3か月くらいだったと思います。
城山:私も3か月くらいですが、仕事が終わってから勉強していたので眠くて、5分読んで寝落ちみたいな日々だったかも(笑)
平賀:みなさん参考書を使っていたんですか?
時田:ネット検索したら、公務員試験系の問題だってことだったので、文章理解や数的処理の参考書をフリマアプリで買いました。試験の半年くらい前に買ったけど、実際に着手したのは3か月前くらいかも…。
前川:私は応募を決めたのが4月下旬だったから、書類選考の合格の連絡が来てから慌てて勉強を始めました(笑)。ウェブで色々と検索して、頻出分野に重点を置いて勉強しました。
平賀:面接はどうでした?
城山:緊張していて、何をしゃべったか全然覚えてないです。
時田:私は本学の人事課で働いていたので、多分みなさんとは違う緊張がありました。変に盛ることもできないなと思って。
谷口:きっと盛らないのがよかったんだと思いますよ。僕も新卒のときは面接で盛ったりしてましたが、今回は2度目の就活なので、正直に言おうと思って素で臨みました。
平賀:選考のステップの中で、印象が変わったことなどはありますか。
前川:採用担当の職員さんが、すごく優しくていい人だなあと。
職員 平賀:僕も同じで、職員さんの印象がすごくよかった。決して事務的でなく、自分の言葉で話しかけたり、激励してくれたりして、すごく優秀な人だと感じました。「こんな人と一緒に働いてみたい」という印象に変わっていきました。
谷口:面接で作り出してくれる雰囲気がとても柔らかくて、人間性の誠実さと人間関係の良好さを感じました。ワンオブゼムではなく、僕というひとりの人間を見てくれているなと感じた。
相原:実際、職員になってから自分の採用を担当した方々と仕事でかかわることも多いし、こじんまりした大学だから仲良くなりやすい気がします。

具体的にはどんな仕事? 管理業務も学生サービスも

平賀:現在の具体的な業務内容を教えてください。
相原:僕は労務業務を担当していて、主に研修の企画・運営と、職員の残業時間の管理をしています。研修は、職位に応じた階層別の研修や、業務分野に応じた分野別研修など、けっこう手厚くやっている印象があります。残業については、毎月、個々の職員の残業時間を集計することによって部署別や時期別の傾向を把握したり、特定の職員に過剰な負荷がかかっていないかを確認しています。
前川:私は広報を担当しています。メインの仕事は、年4回ウェブサイトで発信している「HQ」というウェブマガジンの企画案の作成、編集部会議の運営、取材交渉や原稿校正です。掲載内容は役員や教員による編集部会議で決定するのですが、我々事務職員が原案を作成することから始まります。リーディングカンパニーで活躍されている本学卒業生を取り上げることも多く、例えば、テレビ東京のドラマプロデューサーとして数々の話題作を世に送り出している祖父江里奈さんを取り上げた記事は、私が企画して編集部会議で提案しました(※3)。自らの企画が形になっていく、達成感が得られる仕事です。
職員 実際のところ、広報にかかる特別な知識を持っているわけではありませんが、やる気と行動力で乗り切ってます。取材依頼先にコネクションがないときは、企業のウェブサイトのお問い合わせフォームから依頼して、取材を実現させたこともありました。
谷口:僕は学生支援課の宿舎管理係で、本学に4つある学生寮の管理をしています。入居申請の受付、申請書類の審査、寮費の徴収のほか、外国人留学生の受入にあたっては、日本語ができない学生も多いので、市役所での転居手続きを代理で行ったりもします。学生寮でのトラブル対応もしており、メンタル不調に陥ってしまう学生のケアも必要になります。個々の学生にあわせたケアやサポートの方法を学ぶ日々で、やりがいを感じています。
もともと、大学のグローバル化に貢献したい、自分の英語力を活かせる仕事がしたい、留学生のサポートがしたいと思っていたのですが、まさにそういう仕事ですね。
時田:私は総務課総務係で、大きな仕事としては、入学式、卒業式などの式典の挙行があります。本学は2025年に創立150周年を迎えるため、それに向けて何らかのセレモニーを行う予定で、その運営も担当する係です。日々の業務としては、代表電話、代表メールの取次や受付、大学運営の方向性を検討する部局長会議や役員会などの会議準備、文部科学省をはじめとする国の行政機関からの統計調査の取りまとめなども担当しています。
職員 城山:私は日常的な業務として教職員の発令をやっています。具体的には、教職員の採用・退職・異動等を人事給与システムに入力して、決裁を仰いだうえで、辞令を発行したり、学内外にお知らせしたりしています。システムに入力した内容が、勤怠管理システムに連携され、給与に反映されるので、私たちが間違うとすべて間違ってしまう。緊張感を持って当たらなければならない仕事だと思います。あと、人事関係の会議や採用試験の運営もしています。
平賀:私のいる経理課経理係は、正しいところに正しい金額を支払う・受け入れるという、お金の入口と出口を管理する責任部署です。経理課の総務担当として課内統括業務もあるので、時田さんの言う各課に照会される統計調査の対応も、一度私の係で受け付けて、課内の各係に割振り、回答を取りまとめて提出しています。
業務的には、学生、教職員、学外のステークホルダー対応の最前線に立つ部署とのやり取りが多い係で、このメンバーの中では、宿舎管理係の谷口さんと学生寮費に関してやり取りがありますね。
谷口:お世話になっております!
平賀:みなさん同士では仕事上でのつながりってありますか?
相原:城山さんとは、同じ人事課なので、人事給与システムと勤怠管理システムの連携トラブルがあれば相談していますし、人事課内の会計担当係として、経理課にご相談に行くこともよくあります。
時田:入学式の時には、前川さんと連携してテレビ取材に対応しましたね。

※3 祖父江里奈氏の記事はこちらからご確認いただけます。

働いてみて思うこと やりがいと充実感とワークライフバランス

平賀:実際に働いてみて、採用前に本学に持っていたイメージと同じだったり、違ったりしたことや、前職との違いを感じることはありますか。
相原:学生の頃は、教務課、学生支援課としかかかわらないので、それ以外の印象がなかった。入職してみたら、総務課、人事課、経理課など、管理業務があるのはもちろんのこと、他の研究機関や企業、卒業生、退職された先生など、多岐にわたるステークホルダーを有していることも実感して、イメージはかなり変わりました。
谷口:前の職場と比べると、人の雰囲気は全然違いますね。前職は、営業という職業柄なのか、時にはかなり厳しい口調になる方もいました。本学ではそういう人に出会ったことがない。その点でも、転職して良かったと思いました。あと、他課からの依頼で数値出しなどの対応をすることもありますが、ウチは照会ごとの締め切りに余裕を持たせてくれているという印象があります。
相原:決まったスケジュールで毎年やっている仕事もそれなりにあるので、スケジュールは立てやすいですね。
前川:照会ごとと言えば、みんなきちんと締め切りを守ります。当然のことかもしれませんが、みなさん規範意識が高いと感じました。
相原:たまに遅れる場合でも、催促したら「すいませんでした」ってすぐに提出してくれますよね。
時田:もしかすると、職員規模が小さいことも関係しているのかな。みんながお互いのことを知っているからこそ、「大変だろうから早めに提出するよ」とか「ちょっと遅れちゃう、ごめん」というやり取りも頻繁にありますよね。
前川:私は前職も大学だったので、業務内容でのギャップはそれほど感じませんが、経営面での違いを感じました。私立大学は志願者を集めることに対してよりシビアに向き合わざるを得ない。そのため入試の種類が多く、10月くらいから始まって3月まで入試シーズンが続きます。そこにオープンキャンパスも加わり、土日に出勤を要することが多くありました。入試もオープンキャンパスも当日だけの業務ではなく事前準備等の業務が付随するので、シーズン中は通常業務がひっ迫し、残業が増えます。本学でも、入試等で土日出勤になることはありますが、基本的にはカレンダー通りですし、みんなちゃんと定時を意識して働いている。私を含め、子育て中の職員は数多くいますが、ワークライフバランスが実現しやすいと思います。
城山:前職は残業するのが当たり前の文化で、定時に帰る人は一人もいなかったです。休暇も取りづらい雰囲気がありました。先輩も休んでないのに、入って3~4年の私が休むのは気まずいな、と。将来的に働き続けることができるか不安になったことも、転職を考えた理由のひとつです。
本学で子育て中の職員の方たちが、仕事と家事・育児を両立しながら活躍されている姿を見て、本当にいい職場だなあとしみじみ思います。
時田:私のような、ヒラの職員からの提案も積極的に受け入れてくれるところにも、前職との違いを感じています。営業時代は、「上司の言うことが絶対」という文化で、企画書を書いても上からの修正指示で、私が考えたものとは全く違うものになることが多かったので。
職員 谷口:平賀さんは、学生支援課、経営管理研究科事務部、経理課と幅広い部署の経験がありますが、部署が変わっても働きやすさは変わりませんか。
平賀:正直なところ、繁忙期の忙しさは部署によるところはあると思います。
私はだいたい2年くらいで異動していますが、異動当初は初めての仕事で覚えることばかりなのでやっぱり大変です。ただ、いろんな仕事に携わることで自分自身の成長を感じることができるし、経験を積ませてもらっているという実感もありますね。
みなさんは、これまでの業務の中で成長を感じたり、達成感を得たことはありますか。

自らの裁量の幅が広い 任される嬉しさを実感できる職場

相原:毎年4月下旬に、新しく本学に入職された教員向けのオリエンテーションを実施しているのですが、最近はコロナ禍で資料配布のみにとどめていて、令和5年度に3年ぶりに実施することになりました。久しぶりの実施ということもあって、実施方法を大幅に見直したほうがいいという意見があがり、例えば紙媒体の資料配布をやめたり、対面とオンラインを併用するハイブリッド方式の実施としたりと、新しい試みを取り入れることになりました。その運営を全面的に僕に任せていただいて、準備は大変でしたが、やり遂げた時はすごく充足感がありました。後日、学長にも喜んでいただいたとうかがって、嬉しかったです。
前川:広報は、大学の仕事のなかでは特殊かもしれませんが、さきほども言ったように、自分の考えたものが形になって、反響もダイレクトに届くので、はっきりとやりがいを感じられる仕事だと思います。なかでも、本学を志望する受験生向けのサイトで「つなぐつなげる一橋」という企画を実現できたときは、達成感を覚えました。
これまでウェブサイトで取り上げてきたOB・OGの方々はキャリアを完成された方が多かったので、受験生がイメージしやすい世代も取り上げてはどうかと思って企画したものです。当初は現役学生で考えていたのですが、「卒業後のキャリアを具体的にイメージできるほうがいい」という編集長の先生のご助言を得て、卒業して数年の卒業生たちに、一橋を選んだ理由や現在の仕事と今後のキャリアについて語っていただく企画となりました(※4)。ウェブ公開後は、学内外の方々からご好評いただきました。
平賀:私は商学部・経営管理研究科事務部で国際認証AACSB(※5)の取得の場に立ち会えたことです。研究科長のリーダーシップのもとに、教員と事務職員が「絶対にやるんだ」という一体感のなかで認証取得に向けて前進していた。私は大学院教務の事務担当者として、先生方の求めに応じてデータを抽出して資料作成したり、統計を取ったり、最終的な局面では、認証を受けるためのブリーフィングに参加し、教務事務の説明をさせてもらったりもした。みんなが同じ目標に向かって努力し、その努力が結実する瞬間にメンバーとして関われたことは、すごく大きな喜びだったし、私のキャリアにおいても貴重な経験ができたと思っています。今後も、そんな経験が増えていくといいなと思うし、みなさんも仕事を続ける中でそういう瞬間に出会うときが来ると思う。
職員 城山:私はいま入職6か月目ですが、学長が委員長を務める人事関係の会議を1つ任せていただいています。先日初めて、学長に事前説明にうかがったのですが、私のような入職したての職員が組織のトップに説明できるって、ほかの組織ではあまり経験できなくて、少数精鋭の本学ならではなんだろうと思います。もちろん上司に同席してもらいましたが、説明は私からさせていただきました。とても緊張しましたが、学長は終始にこやかに対応してくださいましたし、終わったあと上司から「説明がうまいね」とほめていただけて嬉しかったです。
今の業務は事務職員とのやり取りが主になるので、いずれは学生にかかわる部署でも働いてみたいです。学生と接点があるのは大学職員の魅力の1つだし、元気をもらって働けるんだろうなって思います。

職員 谷口:実際、学生と接することで刺激を受けています。すごくしっかりしているところを見て襟を正すことも多々ありますし、若返った気持ちにもなります。本当に楽しい。

※4 「つなぐつなげる一橋」の記事はこちらからご確認いただけます。
※5 AACSB…アメリカを拠点とするビジネススクールの国際的な第三者評価機関で、ハーバード大学やスタンフォード大学をはじめ各国の名だたるビジネススクールが認証を受けている世界的なビジネス教育の認証機関として知られる。認証取得後も毎年の改善レポートや、5年ごとの実地審査を受ける必要がある。一橋大学大学院経営管理研究科・経営管理専攻/商学部(SBA)と、大学院経営管理研究科・国際企業戦略専攻(ICS)は、2021年7月に、日本国内では6校目、国公立大学としては初めて認証を取得した。

大学経営の心構えから語学研修まで レベルアップの機会が充実

平賀:OJTによる実践のほかにも、職員向けの教育訓練のメニューが用意されていますが、みなさんは研修など受講されていますか。
相原:国際的な研究機関である沖縄科学技術大学院大学に、今年から職員を派遣しているのですが、機会があればそれにチャレンジしてみたい。今後は、海外の有力大学との連携も強化されていくと思うので、海外大学でのOJT研修にも興味があります。
時田:大学経営人材育成プログラムを受けています。大学経営に必要な知識を得るためのプログラムで、経営学を得意分野とする本学が学部生向けに開講する授業を、職員も受けることができるというものです。今は本学の職員を対象にしているのですが、将来的には外部に開講して、次世代の大学経営を担う人材育成のためのサーティフィケートプログラムに発展させる予定だと聞いています。
谷口:僕は、英語によるビジネスコミュニケーションスキル向上のための2日間の研修に参加しました。外国人講師のもと、一日中英語でスピーキングやライティングを訓練しました。英語力は継続的に使用しないと落ちてしまうので、こういう研修の存在はありがたいし、楽しかったです。
平賀:相原さんは人事課で研修を担当されているとのことですが、他に特筆すべき研修プログラムにはどのようなものがありますか。
職員 相原:コンサル会社が実施しているビジネスセミナーに参加できるというものがあります。個々の職員の適性に応じて強化すべきスキルを伸ばせるよう、階層別や分野別に実施される約200種類のセミナーのなかから、上司と相談して受講セミナーを決めるというものです。
平賀:私もビジネスセミナーで、中堅リーダーの心構えや果たすべき役割を学ぶセミナーを受けました。現状で抱えている課題に対して、目的意識を持って受講できるので、知りたいことや伸ばしたいスキルをピンポイントで強化できますし、学びたい気持ちがあれば、成長する機会はあると思いました。

志望者へのメッセージ 常に新たな挑戦をする大学で働きがいを実感して

平賀:では最後に、本学への就職を考えている方に向けてのメッセージをお願いします。
谷口:先ほども言ったとおり、面接の雰囲気は和やかで話しやすいので、ありのままの自分でぶつかればいいと思います。あとは、繰り返しになりますが、本当に働きやすいです。仕事の楽しさ、人間関係の良さ、ワークライフバランスなど、僕はここに来れて本当に良かったと思っています。
前川:指定国立大学法人の指定、ソーシャル・データサイエンス学部の設置、150周年記念事業など、どんどん新しいことに取り組んでいる大学です。どこの部署であっても、やりがいのある仕事ができる環境なんだろうと、今日のみなさんのお話をうかがって改めて思いました。
時田:創立150年の伝統がありながら、前川さんが言ったように新しいことに挑戦を続けていて、そこに携われるのが楽しい。職員は、新卒で入った方、公務員や民間企業から転職してきた方など、様々なバックボーンを持った方がいて、一緒に働くことで日々刺激を受けています。大学の更なる挑戦を支えていきたいと思っている方と一緒に働けたら嬉しいです。
城山:事務の仕事を何も知らなかったので、最初は私に務まるのだろうかと不安でした。でも職員のみなさんはとても親切で、丁寧に教えてくれました。ご迷惑をおかけすることも多いのですが、温かい指導とサポートをいただいています。大学の事務は、働くイメージがわきづらい職種ではあると思うのですが、得意分野を活かせる部分は絶対にあるので、ぜひチャレンジしていただきたいです。
平賀:相原さんには、特に本学学生に就職先の選択肢のひとつに一橋大学があるということを含めてメッセージをお願いできれば。
相原:えっと…。学生目線での大学は、授業とサークル・部活動をする場所としてしか見えないと思うけど、働いてみるともっと奥が深くて、視野が広がる仕事です。商社や金融もいいと思うけど、足元にいい職場があることを気づいてもらえたら。実は事務職員にも一橋大学卒の方はけっこういます。新卒で入った方だけじゃなく、転職して母校に戻ってくる方もいますので、やっぱり母校愛が呼び戻しているんだと思います。母校愛の深い方、ぜひご検討ください。
平賀:最後に私からも。本学は、2025年に150周年を迎えます。「ひとつひとつ、社会を変える」の事業ステートメント(※6)のとおり、伝統を大切にしつつ、常に新しいことに挑戦し続けている大学です。私よりあとに入ってきた職員のみなさんが、仕事を通じて挑戦し、成長を実感していると聞いて、嬉しく、そして頼もしく思っています。次世代のみなさんと一緒に、今後の一橋大学をつくっていけること、働けることを楽しみにしています。
※6 「ひとつひとつ、社会を変える」事業ステートメントを含む、創立150周年記念ウェブサイトはこちらからご確認いただけます。

職員
一橋大学の更なる挑戦を支えていきたい方と一緒に働けるのを楽しみにしています


(この座談会は令和5年6月13日に実施したものです。)



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