一橋教員の本
文化のハイブリディティ
文化のハイブリディティピーター・バーク著; 河野真太郎訳 |
訳者コメント
日本語にも数多くの著書が翻訳紹介されているイギリスの文化史家ピーター・バークによる異種混淆性(ハイブリディティ)論の翻訳です。本書は、比肩する者のないバークの博覧強記を背景としつつ、異種混淆という文化現象、異種混淆性の理論を小冊ながら高い密度で論じるものです。議論が英米ならびに西欧に偏ることがなく、特にラテンアメリカにおける異種混淆的な文化事象と理論を渉猟していることが本書の特徴となっています。本書を通読すれは、異種混淆性というものは「ふつう」の文化のあり方だという感覚を抱くでしょう。たとえば、バークも何度も参照する日本の文化は異種混淆的な文化そのものです。「均質化」をキーワードとするグローバリゼーションの時代に文化のハイブリディティという視点はいかなる有益な視点たり得るのか。本書はそのような、現在「文化」を論じる上で避けて通れない問題へのひとつの重要な応答となっています。