肢体不自由

 

肢体不自由とは

身体の動きに関する器官が、病気やけがで損なわれ、補装具の使用をしても、歩行や筆記などの日常生活動作が、不可能、もしくは困難な状態をいいます。または、不自由の度合いが前述に掲げる程度に達しないもののうち、常時の医学的観察指導を必要とする状態も含まれます。

 

肢体不自由のタイプ

上肢機能障害

腕、手、指および関節に関する機能障害で、欠損や麻痺、萎縮などを含めます。外見上はわからなくても、物が持てない、力が入らないなどの困難を示す人もいます。

下肢機能障害

脚、足指および各関節に関する機能障害で、体を支える力がどの程度あるかに応じて、車いすや杖などを使用している人もいます。少し歩けても、長距離移動などが困難な場合もあります。

上下肢機能障害

上肢、下肢の両方に関する機能障害です。障害の程度が重度であると、介助者の協力を得ながら生活している場合もあります。嚥下(飲み込み)やかっ痰(痰を出す)、呼吸、体温調節、コミュニケーションなどにも障害がある場合もあります。

他の機能障害

体幹(胴体)に関する機能障害、上肢と体幹、下肢と体幹、上下肢と体幹に関する機能障害および運動の障害です。内部機能障害、感覚障害、高次脳機能障害等を併せもつこともあります。

 

支援やサポートの基本的な考え方

  • 物理的なバリアの把握と改修ができるところは行う(スロープの取り付け、ドアの開閉(自動ドアの設置)、エレベーターや多目的トイレの設置など)。
  • 支援ニーズの定期的な確認(生活経験の積み重ねや周辺学生との関係の変化に応じて、ニーズが段々と変わっていくことがある)。

 

参考

支援ガイド_肢体

日本学生支援機構「 教職員のための障害学生修学支援ガイド」より一部抜粋

 

よくある困りごと
移動に関すること
  • 車いすや杖などを使用しているため、段差がある場所、幅の狭い場所、自転車や物が置いてある場所での移動ができない。
  • 建物や部屋の入口のドアが重くて、車いすを使用して座りながらの開閉や、杖をつきながらの開閉ができない。
  • スロープがない、エレベーターがない、多目的トイレがない建物での授業に出席できない。

授業に関すること
  • 机といすが固定されているため、車いすで着席できない。
  • 上肢に障害があるため、筆記が困難でありノートが取れなかったり試験の解答が書けなかったりする、またはそれらをするのにとても時間がかかる。
  • 体育の授業で参加できないものがある。
  • フィールドワークが必要な講義で、参加できないものがある。

学内での生活に関すること
  • 図書館の本棚に届かない。
  • 自習室やPCルームの机が高すぎ/低すぎて使用できない。
  • 車いすで入れるトイレが必要。または、トイレを使用する際に介助者が必要。

 

支援を受ける方:実際の配慮例
情報保障(録音・撮影含む)と代筆

ノートテイカー、ポイントテーカーを配置し、講義の要点を書きとったり、受講票などを代筆したりするよう依頼する。また、授業の板書を撮影したり、講義の録音したりするよう依頼する(ただし、データの取り扱いに関しては先生との合意が必要)。


座席指定

十分な広さの確保、高さが適当な机、稼働できる机・椅子などを用いて、車いすや杖を使っていても着席できるよう優先席を手配する。


教室の配慮

スロープや自動ドア、エレベーター、多目的トイレなどのある建物の教室で優先的に授業が受けられるよう手配する。または、教室や建物の入口に段差を超えるための平版を設置する。


通院時の欠席の配慮

障害があることに起因する通院時に、講義を欠席せざるを得なくなった場合に、代替課題の提示や欠席回数の緩和などの配慮をいただけるよう依頼する。(この時、土日の診療が不可能、もしくは、大学近隣のクリニックでの診療が不可能であることが条件となる。)


解答方法の配慮

試験解答、受講票やコメントカードなどの作成時にPCの使用許可、eメールによる提出許可を依頼する。また、論文形式の試験で筆記が困難な場合には、パソコンによる解答、口述筆記、録音テープでの提出等を依頼する。


別室受験・試験時間延長

試験問題等の読み上げ支援の必要有無に応じて、別室にて受験ができるよう手配する。また、解答方法や障害に応じて試験時間の延長等の調整を行う。


移動方法に関する配慮

大学近辺の環境に応じて、車や自転車での通学や送迎、キャンパス内移動を許可して頂けるよう手配する。また、キャンパス内や建物内において、車いすなどの動線が確保されるよう手配する。

 

支援を行う方:留意点・配慮例
教室のレイアウトに関する配慮

教室内で、車いすでの方向転換が可能な配置に机やいすを設置したり、黒板やスライドが見やすい位置に優先席を配置したり、パソコンテイカーやポイントテイカーの座席の配置にご協力・ご許可頂けますようお願いします。


データの事前提供

講義で用いる教科書、配布資料、参考資料など、他の学生と公平性を保つことができる範囲で事前に提供をお願いします。


電子機器の使用・持ち込み

補聴援助機器や、PC、タブレットなど、学生の障害特性に応じて授業内での持ち込みや使用をお願いする場合があります。


特殊な授業における配慮

体育実技、実習やフィールドワークを伴う講義、教室内で発言する際に挙手が必要な講義、特別な器具の使用を伴う講義などは、学生の障害の特徴に応じて、代替方法のご検討をお願いします。


 

 


 

     

     

     







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