視覚障害

 

視覚障害のタイプ

視覚的な情報を全く得られない、もしくはほとんど得られない人たちです。人によって、明暗の区別、点字の読み書き、白杖や盲導犬の使用による単独の移動の可否などが異なります。

弱視

視力や視野などの視機能低下が原因で、読み書きや移動等の生活機能に困難を継続的に伴う状態のことです。拡大鏡(ルーペ)や単眼鏡、拡大読書器などで、文字の読み書きを行うこともあります。

中途失明

大学在学中に、視野障害や視力低下を起こす人もいます。中途失明に至った学生は、心理的に不安定な状態に陥りがちであり、点字の読み書きができなかったり、移動などの日常生活の基本動作にも困難を覚えたりすることが少なくありません。

 

支援やサポートの基本的な考え方

  • 文字情報へのアクセスに関する支援を行う。(点訳、拡大、電子データの提供、印刷物のテキストデータ化、対面朗読、板書の読み上げなど。)
  • 個別の対応を行う。(同じ視覚障害でも、障害の程度、特徴、点字の読み書きや電子機器の操作などのスキルの度合いは異なる。)
  • 環境把握と移動に関する支援を行う。

 

参考

支援ガイド_視覚

日本学生支援機構「 教職員のための障害学生修学支援ガイド」より一部抜粋

 

よくある困りごと
多様な盲
  • 例1:明暗の区別はつくがそれ以外は全く見えない。生まれつきのため、盲学校での教育を受けていることが多く点字の読み書きができるし、専用のPCソフトを用い、墨字(一般文字)でのレポート作成もできる。白杖を用いれば慣れた場所での一人で移動が可能だが、新しい場所には補助者が必要。
  • 例2:目の前に指を出されれば本数はわかる。中途失明であり、点字は勉強中のため、できる限り読み上げソフトを利用したい。講義のノート作成の支援、また移動のための補助者が必要。
  • 例3:現在は全く見えないが、小学生までは見えていたので、図や色の概念は説明されれば理解できる。盲導犬と暮らしているが、盲導犬への無理解によって引き起こされる困難に直面することもある。

弱視
  • 複雑な漢字や新聞などの小さな文字など、細かい部分がよくわからない。
  • 視野が狭いので、広い講義の座席の配置や大きいものの全体把握が難しい。
  • 光がまぶしく感じられ、明るい場所では目を開けていられないほどであるため、普段から室内でもサングラスを使用している。
  • ノートの罫線、壁とドアに境、階段などの段差、池の水面など境界がはっきりしない。建物等の位置関係がわかる場合、黄色の点字ブロックを目印に移動することが可能。

 

支援を受ける方:実際の配慮例
環境案内・整備

一緒に授業教室やキャンパス内を移動し、動線に歩行の妨げになるような箇所や危険な個所がないかチェックする。歩行の妨げとなる自転車や立て看板がおかれやすい場所には、歩行標識を用意したり、ポスター掲示などにより注意喚起したりするようよう依頼する。また、教室の出入り口や使用頻度の高いトイレなどに、教室番号の拡大表示や点字表記を依頼する。


テキストデータ化

シラバス、教科書、配布資料、参考資料などは、PCで拡大表記したり読み上げソフトを使用したりできるように、電子データを頂けるよう依頼する。資料の形態に応じて、支援室で電子データ化、点訳、拡大表示、その他ソフトウェアなどを使用できるようにする。


録音・撮影

点字や拡大鏡を用いたノートテイクが、講義のスピードに間に合わない場合には、授業の板書を撮影したり、講義を録音したりして頂けるよう依頼する(ただし、講義で得たデータの取り扱いに関しては、科目担当教員との合意が必要)。


専用機器の使用

点字携帯端末や点字ディスプレイ、拡大読書器、タブレット、PC、スマートフォンなどの使用について、必要に応じて許可を頂けるよう依頼する。


別室受験

試験時に、読み上げソフトやPCを使用する、あるいはTAやサポーターによる問題文の読み上げを行う場合には、別室にて受験できるよう依頼、手配する。


課題期限・試験時間延長

点字での受験や解答を行う場合には、症状の状態、試験の内容と照らし合わせ、試験時間の延長(通常は約1.3~1.5倍)や課題提出期限の延長を依頼する。

 

支援を行う方:留意点・配慮例
板書の読み上げ

可能な限り板書の読み上げをお願いいたします。すでに配布されている資料を読み上げている場合や話していることの補足の意味での板書はその限りではありません。専門用語については、日本語ならどのような漢字を使うか、外国語ならスペリングを説明して下さい。また図や絵を書く際にも、言葉での説明をお願いします。


指示語の使用に関する配慮

「これ」「あの」などの指示語も用いずに、なるべく具体的な言葉に置き換えての説明をお願いします。


データの事前提供

講義で用いる教科書、配布資料、参考資料などを電子データとしてお持ちの場合は、学生に電子データとして事前にご提供ください。電子データを点字や読み上げソフトにかけることで、学生は内容を理解することができます。電子化されていない教材で、点訳やワード文書等への変換が必要な教材は事前に障害学生支援室にお送りください。視覚障害の方が内容を把握できるような電子データに直し、学生にお送りします。



電子機器の使用・持ち込み

点字携帯端末や拡大読書器、PC、タブレットなど、学生の障害特性に応じて授業内での持ち込みや使用のご許可をいただく場合があります。


掲示物やお知らせ情報

突然の教室変更や休講などの情報は、manaba等のお知らせ機能を使用して頂くか、電話やE-mailなどにて直接学生にお知らせをお願いします。


受講票や試験の回答形式の変更

授業時間内に意見や感想、出席カードなどの提出が必要な場合には、パソコンで描いたものを後日メール等で提出させたり、簡単なものであればその場で他の受講生に代筆したりしてもらうなどの対応をお願いします。また、レポートや試験答案の作成にパソコンの使用のご許可をお願いすることもあります。

 

 


 

     

     

     







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