聴覚障害
聴覚障害とは
音をきく、または感じる経路になんらかの障害があり、話し言葉や周囲の音が聞こえなくなったり、聞きづらくなったりする状態のことを指します。
聴覚障害の程度
聴力レベル | 音の大きさ | 大学生活上の困難 |
---|---|---|
30db | ささやき声 | 固有名詞や専門用語の聞き間違い |
40db | 静かな会話 | |
60db | 普通の話し声 | 雑音下の会話やビデオ音声、グループディスカッション等での困難さ |
80db | 大きな声の会話 | 授業全般で不便を感じることが増加 |
100db | 耳元での叫び声 | 通常の授業では著しい困難 |
*db=デシベル:0dbは聴覚に障害のない成人の聴力の平均を表し、数字が大きくなればなるほど聴力損失の度合いが大きくなる。
聴覚障害のタイプ
聾
両耳の聴覚損失が60db以上で、補聴器等の使用によっても通常の会話を介することが不可能、または著しく困難な程度の人を指します。
難聴
両耳の聴覚損失が60db未満で、補聴器を使用すれば通常の会話を介することが可能な程度の人を指します。
支援やサポートの基本的な考え方
- きこえを補うための支援を行う。(補聴器、人工内耳、FM補聴器・FM送信機などの利用、ゼミやディスカッションでのルール決めなど)
- 聴覚情報に対する情報保障を行う。(ノートテイク、パソコンノートテイク、手話通訳など)
- 個別の対応を行う。(聴覚障害といっても、障害の程度、特徴、手話スキルの有無、読唇スキルの度合いは異なる)
参考
日本学生支援機構「 教職員のための障害学生修学支援ガイド」より一部抜粋
- 授業全般
- 教員や学生の話していることが分からない。
- 教員に指名されたとき、何を質問されているのかよくわからない。何度も聞き返して授業を止めてしまうことに罪悪感を覚える。
- 聞きなれない専門用語を口頭だけで説明されてもよくわからない。
- 外国語の授業
- リスニングや会話形式の授業についていけない。
- 情報保障者を確保することが難しい。
- ビデオ教材を利用する授業
ノートテイクや手話通訳による対応が難しい。
- ゼミやディスカッション、グループワークのある授業
- 学生が途中で発言する授業では、誰が発言しているか分からない。
- 複数人が一斉に話をしていると、誰が何の話をしているのか判断できない。
- 定期試験・レポート
レポート課題、試験の日程、試験時の注意事項などを口頭だけで説明された場合には、内容が把握できない。
- 情報保障
ノートテイカー、パソコンノートテイカーを配置する(授業中の先生の発話内容を手話や墨字を用いて伝える)。
- 座席指定
音声を聞いたり、教員の口の形を見て授業を理解している学生の場合、座席を前列に指定したり、先生の口元がはっきり見える場所に配置して頂けるよう依頼する。
- 専用機器の使用
必要に応じて、FM補聴システムの利用や、タブレット、PC、スマートフォンなどの使用許可をお願いする。
- ビデオ教材の字幕付け
講義にて映像や音声の教材を用いる場合、字幕を用意する。
- リスニングやディスカッションを含む授業
本人のニーズ、そして、支援可能な範囲の確認を行うため科目担当教員と本人を含めた打ち合わせを行う。補聴援助システムの利用や、視覚情報に置き換えた資料の利用、座席の工夫、発言ルールの明確化、代替課題への置き換えなどの支援内容を検討する。
- 授業中の発話について
特に難聴学生やある程度読唇ができる学生の場合には、口元が確認できるよう、タイミングや立ち位置に留意して発話して頂き、なるべく口をはっきり動かしゆっくり話していただけるようお願いします。
- データの事前提供
講義で用いる教科書、配布資料、参考資料など、他の学生と公平性を保つことができる範囲で事前に提供をお願いします。 特に、講義で音源や映像を使用される場合には、あらかじめアクセシビリティ支援室までご連絡をお願いします。
- 電子機器の使用・持ち込み
補聴援助機器や、PC、タブレットなど、学生の障害特性に応じて授業内での持ち込みや使用をお願いする場合があります。
- ゼミやディスカッションのある講義の配慮
進行状態を把握できるように、教室内の受講生の座席、情報保障者、スクリーンの配置など、教室内のレイアウトの工夫にご協力をお願いします。また、複数の学生が同時に発言しない、発言する際には必ず手を挙げる、支援学生の発表の際には、質疑はまとめて行うなどのルールの設定をお願いします。
- 掲示物やお知らせ情報
教室変更や突然の休講、レポートや試験の課題内容や日程などの重要な情報は、板書、manabaやシラバスに掲載、プリントを作成し配布するなど、必ず視覚的な情報としてお伝えください。