一橋教員の本
よくわかる日本法制史 (やわらかアカデミズム・<わかる>シリーズ)
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岩谷十郎, 松園潤一朗, 高田久実編著; 渡辺尚志 [ほか] 著 |
編著者コメント
「やわらかアカデミズム・〈わかる〉シリーズ」(ミネルヴァ書房)の一冊として、日本法制史を扱った本です。同シリーズは授業用テキストを念頭に、図版も用いながら、原則見開きで各項目を解説する形式を特徴としています。
本書の構成は、「Ⅰ 古代」・「Ⅱ 中世」・「Ⅲ 近世」・「Ⅳ 近現代」の時代順に日本法制史を通史的に概説するとともに、「法源」・「法律学」・「法律家」・「裁判制度」の四つのテーマを設けることによって、テーマ別に読み、学ぶことも可能としていることが特色です。
「法源」は裁判の基準となるような客観化された法やその存在形式を対象とし、政治・社会・経済・国際の各状況のもとで当該法システムが必要とされた背景を含め論じています。「法律学」では法ないし法的な場面を対象とした言説について、法解釈に関する学や技法、法実務の諸資料などを検討します。「法律家」は、今日のいわゆる法曹三者(裁判官・検察官・弁護士)が近代以降の西洋法との接触により確立された法律専門職であることに鑑み、法運用に携わる専門集団の時代ごとの存在形式を叙述の対象とします。「裁判制度」では上記三つのテーマを統合する形で裁判の管轄や手続を概説しています。
法が他の社会規範・制度と峻別される近現代に対して、前近代において法の輪郭は必ずしも明確ではありません。西洋法の継受により成立した日本近代法も固有の性質を有しています。本書は、現在では自明となっているさまざまな事柄の意味を、その成り立ちと起源から問い直す思考へ読者を誘うことを目標としました。法に関連する事象を幅広く扱った、法律も歴史も学びたい人のためのテキストとなっています。項目間のクロスリファレンスや索引も活用しながら、多くの専門家のご執筆による本書を味読ください。(松園潤一朗)