一橋教員の本
18歳からはじめる国際法 (From 18)
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佐藤哲夫, 渡辺豊, 中西優美子編 ; 佐藤弥恵, 初川彬, 竹村仁美 [ほか] 著 |
編者コメント
『18歳からはじめる国際法』は、佐藤哲夫先生(一橋大学名誉教授)と佐藤先生の弟子であり、現在新潟大学教授の渡辺豊先生が実質的な編者で、私は便宜上編者になっている。なぜ私が編者になっているかというと、この本は一橋大学と深くかかわりがあるからである。この本は、15章から構成されているが、その執筆者15人すべてが一橋大学大学院で国際法を学んだからである。さらに重要なのは、執筆者全員が佐藤先生の指導を受けた者であり、この本は感謝の気持ちをもって佐藤先生に捧げるという意味をもつからである。私は、1991年から専修大学に就職する、2000年3月まで一橋大学で9年間院生として過ごした。先生の大学院の授業を受け、修士論文の口述試験においても先生の審査を受け、2012年に一橋大学に教員として戻ってからは大学院入試や修士・博士の口述試験等を通じて佐藤先生の教えを受けてきた。今回、編者として構想段階のときから参加させていただき、契約、発刊、献本に至るまで佐藤先生、渡辺先生及び出版社である法律文化社の梶谷修氏と八木達也氏とメールやZOOMでのやりとりをしてきた。その中で、編者とはここまで本の内容(頁数、索引を含め)、執筆者及び読者に気を配るのかとこの機会を通じて教えを受けた。また、本を読みやすくするという目的の下、佐藤先生の提案で15章のそれぞれを執筆者が読み、誤字脱字等を含めコメントをつけるというクロスレファレンスの仕組みが採用されている。加えて、この出版企画を法律文化社から受けられ、責任をもって出版社編集部や執筆者たちとの密な連絡等の労をとられたのは、渡辺豊先生である。私の役目は、一橋大学の教員としてこの「一橋教員の本」のためにコメントを執筆し、この本が2版、3版へと版を重ねていくように広報することである。
この教科書は、「18歳からはじめる」と枕詞がついているように、これから国際法を学ぼうという学生の方にぜひ読んでいただきたい。私は、この教科書では、「6 EUは、『超国家』なのか?」を執筆した。もともと、国際法を専攻する中で、「超国家」という言葉に魅かれて、EU法の研究を志すようになったが、この本は、自分のルーツが国際法にあることを教えてくれる。また、現在、一橋大学では竹村仁美先生が国際法を担当されている(この本では、「12 戦争犯罪の処罰はどのように行われるのか?」を執筆されている)。一橋大学から今後も国際法・EU法の研究者が輩出されていくことを願っている。(中西優美子)