一橋教員の本

不確実性と日本経済 : 計測・影響・対応

不確実性と日本経済 : 計測・影響・対応

森川正之
日本経済新聞出版 2025年1月刊行
ISBN : 9784296121755

刊行時著者所属:
森川正之(経済研究所)

著者コメント

 近年、世界金融危機、東日本大震災、新型コロナ危機など不確実性ショックが頻発しています。ロシアのウクライナ侵攻、中東における武力紛争、北朝鮮情勢など安全保障面の不確実性も顕在化しており、日本の少数与党内閣、米国のトランプ第二次政権発足は、政策の先行き不透明感を高めています。
 「不確実性(uncertainty)」は、古くから経済学の重要な研究テーマでしたが、この20~30年の間、不確実性の研究は急速に進展しています。そして、不確実性が投資、消費、貿易など経済活動にマイナスの影響を持つことを、内外の多くの研究が確認しています。最近は経済予測や経済政策の実務でも、経済の先行きをめぐる議論のキーワードになっています。例えば、IMFやOECDの経済見通し、日本銀行の「展望レポート」では、不確実性という単語が高い頻度で使われています。
 本書では、不確実性に関する経済分析の進展を踏まえつつ、不確実性と日本経済について著者自身が行ってきた研究を含めて、①不確実性の定量的な計測、②不確実性の経済活動への影響、③不確実性への対応、という3点から考察します。そして、政府・政治が不必要な政策不確実性を作らないこと、不確実性ショックの影響を軽減する仕組みを平時に準備しておくべきこと、不確実性の動向をビッグデータやAIも活用しつつモニタリングすることが望ましいことを指摘します。



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