一橋教員の本

福田徳三とその時代

福田徳三とその時代

西沢保
信山社 2024年7月刊行
ISBN : 9784797281972

刊行時著者所属:
西沢保(名誉教授)

著者コメント

 本書は、明治、大正、昭和初期における日本の経済学の先駆者である福田徳三の経済思想史研究である。福田は、一橋大学の前身である東京高商、東京商大と慶應義塾で教え、中山伊知郎、小泉信三、山田雄三、他多くの門下生を育て、日本における経済学研究の大きな基礎を築いた。1930年に55歳で亡くなったが、理論・歴史・政策からなる『経済学全集』を自ら刊行し、他に『厚生経済研究』を遺した。盟友に経営学の先駆者であり、雑誌『企業と社会』を主宰した上田貞次郎がいた。本書は、戦前の日本の経済思想史研究であり、一橋大学の戦前の学問史の一部でもある。

 本書の第一部は、福田の『経済学講義』とマーシャルの『経済学原理』(経済学は「富の科学であると同時に人間の科学である」と説いた)、そして “no wealth but life” を説いたラスキンの経済思想との関係、第二部は「生存権の社会政策と厚生経済研究」、第三部は「福田と東京商科大学の形成」を扱っている。今年は、福田徳三の生誕150年記念の年でもある。



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