一橋教員の本

正義とは何か(講談社現代新書 ; 2735)

正義とは何か(講談社現代新書 ; 2735)

森村進
講談社 2024年1月刊行
ISBN : 9784065345856

刊行時著者所属:
森村進(名誉教授)

著者コメント

 本書は私の過去三十余年の「法哲学」授業の副産物です。私は授業の準備をする中で過去の哲学者の正義論に関してさまざまの発想や知見を得てきましたが、最近までその大部分は断片的で未発表だったのが、〈彼らの正義論の対象はそもそも何か?〉という視点から整理すれば一書にまとめることができると思いついて書き下ろしました。比べるのもおこがましいですが、モンテスキューの『法の精神』序文の次の文章は本書の執筆にもあてはまります。 

 

  「私は計画も立てずに自分の対象を追究していた。原則も例外も知らなかったし、真理を発見したかと思うと、次にはもうそれを見失った。ところが、私が自分の諸原理を発見するや、すべて私の探し求めていたものが私のもとにやってきた。」(岩波文庫の訳)

 

  本書はまた、既刊の『自由はどこまで可能か』(講談社現代新書)、『幸福とは何か』(ちくまプリマー新書)とともに、自由・幸福・正義に関する私の新書三部作をなす本です。編集者から多くの有益なコメントや提案をもらったおかげもあり、その二冊以上に内容が豊かな、とてもよい本になりました。 

 

  ただし末尾の人名索引の最初、「アウグストゥス」は「アウグスティヌス」の間違いなので、ここに訂正します。



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