一橋教員の本

垂虹問俗:田野中的近現代江南社会与文化

垂虹問俗

佐藤仁史, 呉滔,張舫瀾,夏一紅著
広東人民出版社 2018年8月刊行
ISBN : 9787218130859

刊行時著者所属:
 佐藤仁史(社会学研究科)

著者コメント

 中国の歴史書や史料は官や士大夫によるものがその大部分を占め、中国の民衆、特に農村部に居住した民衆が自らの考えや生活を記した一次史料は非常に限定されてきました。したがって、彼らの生活の実態を掘り起こすには、インタビュー調査をはじめとするフィールドワークに赴く必要があります。本書は、中国江南地方において2004年夏より約10年間にわたって行われた、日中両国の研究者による共同現地調査を土台とした研究成果の一部です。家族組織や信仰組織、水上居民、宗教(カトリック)や民間信仰、芸能や歌謡など、文献のみからではアプローチできない多様な対象を分析しています。

 ユニークなのが、大学の研究者の成果のみならず、現地調査において仲介の労をとっていただいた在野研究者の仕事を収録していることや、当初現地語の通訳を務めた学生が現地で出会ったテーマで執筆した論文も収められていることです。ここには現地調査における様々な協力や分業の形が示されています。

 なお、本書は『嘉定県事:14至20世紀初江南地域社会史研究』の続編ですので、併せてお読みいただければ幸いです。



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