附属図書館・社会科学古典資料センターが国際シンポジウムを開催しました
2018年12月17日
2018年12月7日(金)、西洋古典資料の保存と活用に焦点をあてた国際シンポジウム「西洋貴重書を守る、活かす」(一橋大学社会科学古典資料センター創立40周年記念/平成30年度文化的・学術的資料の保存国際シンポジウム)を開催しました。
本シンポジウムは、1978年に発足した社会科学古典資料センターの創立40周年を記念するとともに、文部科学省共通政策課題「文化的・学術的な資料等の保存等」(平成28年度~平成30年度)事業として採択された附属図書館及び社会科学古典資料センターの「西洋古典資料の保存に関する拠点およびネットワーク形成事業」の一環として、国立大学図書館協会東京地区協会およびHitotsubashi International Fellowship Programの後援を得て行われたものです。
プログラムは以下のとおりでした。 開会挨拶 山田敦(一橋大学副学長)。趣旨説明 大月康弘(一橋大学附属図書館長・社会科学古典資料センター長)。特別講演「アダム・スミス文庫にわけ入って」水田洋(日本学士院会員,名古屋大学名誉教授)、「水田文庫を特徴づける資料群」中井えり子(元名古屋大学附属図書館)。基調講演「Acquisition, Collaboration, Teaching: The Role of the Beinecke Library in Driving Research」Raymond Clemens(Yale大学Beinecke Rare Book & Manuscript Library)。パネルディスカッション「教育・学習に古典資料を活かす」馬場幸栄(一橋大学社会科学古典資料センター)、倉持隆(慶應義塾大学三田メディアセンター)、田中麻巳(立正大学古書資料館)。閉会挨拶 屋敷二郎(一橋大学社会科学古典資料センター教授)。
特別講演では、アダム・スミス研究を中心に、資料とその収集について、また寄贈資料の整理にあたった図書館職員からその文庫の特徴が語られました。基調講演では、貴重書図書館の写本・手稿類担当キュレーターにより、資料をデジタルヒューマニティーズの手法を用いて科学的に分析した歴史研究が紹介されました。パネルディスカッションでは、貴重書を適切に「活かす」ことは貴重書を「守る」ことにつながるという視点で、貴重資料を教育・学習に活用する図書館の事例報告とディスカッションが行われました。多様な内容により大学図書館に求められる新しい貴重書サービスのあり方を探るという企画でした。
当日は、全国から大学等図書館職員や研究者、学生、出版関係者などが集まり、また社会科学古典資料センターゆかりの名誉教授らも駆けつけ、活気あるシンポジウムとなりました。講演後は多数の質疑も寄せられていました。
参加者アンケートでは「文庫の名前を冠している御本人のお話が聞けるというのはたいへん貴重な機会でした」「科学的分析の話などとても面白かった」「デジタル化と直接利用することの意義について大変考えさせられました」「研究と図書館、研究者と図書館スタッフの連携が今後も進んでいくことを期待する」等の意見や感想が寄せられました。
一橋大学附属図書館・社会科学古典資料センターは、今後もさまざまな機会に、学術資料の保存と活用の意義を啓発できるよう努めていく予定です。