プリント

本学は創立150周年を迎えました

本日2025年9月24日、一橋大学は創立150周年を迎えました。1875年、森有礼や渋沢栄一、勝海舟らの尽力により、銀座尾張町に商法講習所が開設されて以来、本学は日本の近代化とともに歩みを進めてきました。創立当初から世界水準の商業教育を通じて国際社会で活躍できる人材を育成することを使命とし、その精神は「人類を導く真の勇者」としてのCaptains of Industryという理念に託されてきました。

その後、東京商業学校、高等商業学校、東京商科大学と発展を重ね、関東大震災後には郊外への移転を決断し、現在の国立キャンパスに拠点を築きました。第二次世界大戦後の1949年には新制国立大学の発足を機に「社会科学の総合大学」として自らを位置づけ、構成員の投票に基づきその校名を一橋大学と改めました。

以来、現在に至るまで、一橋大学は、変化する社会の要請に応えながら、社会科学の発展と卓越した人材の育成に邁進してきました。1990年代以降は、商、経済、法、社会の4学部・研究科に加えて、大学院に言語社会研究科(1996年)、国際企業戦略研究科(1998年)、法科大学院(2004年)および国際・公共政策大学院(2005年)がそれぞれ加わり、また、2000年には本学の故郷と言うべき一ツ橋に建設された学術総合センター内に神田キャンパス(現・千代田キャンパス)が開設されました。2018年には、大学院における高度専門職業人教育の強化をはかるために商学・法学・国際企業戦略の3研究科を再編統合して経営管理研究科:通称「一橋ビジネススクール」(経営管理専攻、国際企業戦略専攻)と法学研究科ビジネスロー専攻が発足しました。これらの学部・研究科、経済研究所、2014年に設立された社会科学高等研究院(HIAS)は、全国屈指の規模をもつ附属図書館とともに社会科学における卓越した学術研究教育の基盤を提供しており、内外の研究者が集い、研究成果を国際的に発信する拠点ともなっています。

2019年、一橋大学は「我が国の人文社会科学分野において教育研究の卓越性を誇る大学」として指定国立大学法人の指定を受け、「日本の社会科学の改革を牽引し、持続可能な未来に向けて架橋する拠点の形成」に向けた取組を展開しています。遡れば、建学当時の日本社会において、商業は教育や学問の対象と見なされていませんでした。それだからこそ、本学は、学問とは何か、何のための学問かという問いに徹底的にこだわりながら独自の学風を築き、広く社会の改善を志す実学としての社会科学の発展に邁進してきたのです。その志を引き継ぎ、世界最高水準の社会科学の研究拠点を構築することは、まさに本学が担うべき使命であり、このために社会科学分野の戦略的重点化領域を設定してファカルティの徹底的な国際化と国際競争力の強化および社会科学高等研究院の機能強化をはかるとともに、2023年には70年ぶりの新学部としてソーシャル・データサイエンス学部・研究科を設置し、自然・人文・社会諸科学の境界を越えた協働に向けて、文理融合・文理共創を切り拓く新しい社会科学の創造に全学で取り組んでいます。

本学の特色は、ゼミナールを中心とした少人数教育にあります。教員と学生が互いに学び合う濃密な対話を通じて、自由と個性を尊重し、教養と知識、判断力と構想力を兼ね備えた人材を育成してきました。この営みを通じて育まれ、内外で活躍する卒業生は、大型の実験施設も大学病院も有することのない一橋大学が卓越した学術コミュニティであることの最も重要なエビデンスのひとつであると私たちは誇りにしています。

150年の歩みをふり返れば、混沌の時代にあっても一橋大学の卒業生は勇気をもって未来を切り拓き、産業、学術、公共はじめ社会の幅広い諸分野で指導的役割を果たしてきました。私たちはこの伝統を誇りとしつつ、日本の社会科学を牽引する大学として、国内外の研究教育機関や企業、政府・非政府組織など多様なステークホルダーとの連携をさらに強化し、知の創出と人材育成を通じて持続可能な未来を創造するために自らを革新していく営みを続けてまいります。

一橋大学長 中野 聡

*創立150周年記念サイトはこちら(https://150th.hit-u.ac.jp/

アーカイブ



Share On