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創立150周年記念プレイベント/2024年度ホームカミングデー

2025年3月28日 掲載

2024年11月30日(土)、一橋大学創立150周年記念プレイベント/2024年度ホームカミングデーが兼松講堂にて開催された。本イベントは一橋大学が2025年に創立150周年を迎えるにあたり展開しているさまざまな記念事業の一環で、2019年より中断していたホームカミングデーを6年ぶりに実施したもの。当日は爽やかな秋晴れのもと、兼松講堂には約490人もの卒業生、在学生、ご家族が来場し、キャンパス内では焼き芋店やコーヒースタンドも出店するなど、盛況のうちに幕を閉じた。

中野 聡

中野 聡
学長

大月 康弘

大月 康弘
理事・副学長

松本 正義氏

松本 正義 特別顧問
住友電気工業株式会社取締役会長

中村 達哉氏

中村 達哉氏
グロービス・キャピタル・パートナーズ株式会社

小椋 一宏氏

小椋 一宏氏
HENNGE株式会社創業者代表取締役社長兼CTO

渡邊 太樹氏

渡邊 太樹氏
株式会社GENDA取締役CFO

渡辺 裕介氏

渡辺 裕介氏
CHOCOLATE Inc. 代表取締役

甲斐 優理子氏

甲斐 優理子氏
株式会社ライスカレー上級執行役員

林 貴恵如水会理事

小林 貴恵如水会理事
TMI総合法律事務所パートナー弁護士

荒川 龍太氏

荒川 龍太氏
NTT東日本シンボルチーム漕艇部所属 2020東京オリンピック、2024パリオリンピック ローイング男子シングルスカル日本代表

倉田 真由美氏

倉田 真由美氏
漫画家

横山 泉

横山 泉
一橋大学大学院経済学研究科教授

山内 あゆ氏

山内 あゆ氏
TBSアナウンサー

祖父江 里奈氏

祖父江 里奈氏
テレビ東京ドラマプロデューサー

開会挨拶および執行部紹介

冒頭、大月康弘理事・副学長の開会挨拶および執行部紹介から始まり、来場した多数の卒業生への感謝の言葉があった。また、創立150周年を迎えるにあたり、次世代のために、学びと活動の場をさらに充実させることを目指しているとし、引き続き母校への支援と協力を呼びかけた。

特別顧問挨拶

続いて、松本正義特別顧問(住友電気工業株式会社取締役会長)による挨拶があった。松本氏は、学生時代から愛読しているというサミュエル・ウルマンの詩「青春」を紹介し、母校とはいつも何かを奮い立たせ、何らかの示唆を与えてくれる存在であると語った。加えて、一橋大学創立150周年記念募金会会長として、一橋大学で得た学びや経験を後輩たちへつなぎ、母校のさらなる発展のために、創立150周年記念募金への協力を呼びかけた。

卒業生座談会「一橋で培ったアントレプレナーシップ」

一橋大学の歴史をまとめた動画が紹介された後、卒業生による座談会「一橋で培ったアントレプレナーシップ」が開催された。登壇者は、小椋一宏氏(経済学部卒/HENNGE株式会社創業者代表取締役社長兼CTO)、渡邊太樹氏(商学部卒/株式会社GENDA取締役CFO)、渡辺裕介氏(商学部卒/CHOCOLATE Inc. 代表取締役)、甲斐優理子氏(商学部卒/株式会社ライスカレー上級執行役員)の4人。司会進行は中村達哉氏(商学部卒/グロービス・キャピタル・パートナーズ株式会社)が務めた。

座談会の冒頭、中村氏はスタートアップの現状と日本のエコシステムについて説明を行った。2010年から2020年までのS&P500(アメリカの株価指数)と日本のTOPIX(株価指数)の推移を示し、アメリカ経済を牽引してきたのはAppleやGoogleといった新興テック企業である一方、その他の産業の成長率は日米で大差がないことを指摘。さらに、30年前と現在の時価総額ランキングを比較し、かつて上位を占めていた日本企業が、現在ではアメリカの新興企業に取って代わられていることに言及し、日本で新興企業を生み出す仕組みづくりが今後の課題であると述べた。

また、2022年に岸田前総理が発表した「スタートアップ育成5か年計画」に触れ、新産業創出への期待が高まる中、日本が再び世界的な競争力を取り戻すべく、挑戦者たちを応援していく姿勢を示した。

座談会では、大学在学中に起業し企業向けSaaSを提供する小椋氏、積極的なM&AでGENDAを上場させた渡邊氏、エンターテインメント事業を展開する渡辺氏、SNSマーケティング事業に携わる甲斐氏が、「一橋で培ったアントレプレナーシップ」をテーマに議論した。

渡邊氏は「最前線で挑戦する姿に注目し、挑戦者を温かく支えてほしい」と呼びかけ、小椋氏は「外部との交流が視野を広げる」と助言。渡辺氏は「何かに全力で打ち込む経験が人生を豊かにする」と述べ、甲斐氏は「一橋大の強いつながりを広げたい」と語った。

最後に、中村氏は、一橋大学が可能性に満ちた大学であることを強調し、未来の基盤づくりのため、大学への支援の重要性を訴え、座談会を締めくくった。

画像:卒業生座談会の様子

一橋大学端艇部卒業生 荒川龍太氏による凱旋講演

続いて、端艇部卒業生の荒川龍太氏による凱旋講演が行われた。聞き手は、同じく端艇部卒業生である小林貴恵如水会理事(TMI総合法律事務所パートナー弁護士)が務めた。荒川氏は2017年に法学部を卒業後、NTT東日本の漕艇部に所属し、ローイング競技の第一線で活躍している。荒川氏がボートを始めたのは大学1年生の時。端艇部の「日本一を目指す」という言葉に魅了され、挑戦を決意したという。努力の末、在学中に日本代表に選ばれ、国際舞台で戦う楽しさや悔しさを経験。この時点で、競技を社会人になっても続ける覚悟を決めた。その後、東京オリンピック(2021年開催)では男子シングルスカルで11位、パリオリンピック(2024年開催)では同種目で9位という素晴らしい成績を収めた。

荒川氏は、「学生時代の挑戦が今の自分を支えている」と強調。小さなきっかけから始めたボートだったが、真剣に向き合い努力を重ねることで、夢を掴むことができたと語った。また、失敗や挫折を恐れず、それを次へのステップと考える姿勢が成功への鍵だと言い、「競技を通じて得た経験や仲間が、自分の人生を豊かにしている」と話した。今後の活動について聞かれた荒川氏は、競技を続けながら法曹へも挑戦したいと語った。

画像:荒川龍太氏による凱旋講演の様子

女子学生入学75周年記念企画「一橋を卒業した女性たちはいま」

一橋大学に女子学生が初めて入学したのは1949年のこと。以来、一橋大学では多くの女子学生が学び、2024年、女子学生入学75周年を迎えた。
本イベントでは、一橋大学を卒業した倉田真由美氏(商学部卒/漫画家)、横山泉教授(経済学部卒/一橋大学大学院経済学研究科教授)、山内あゆ氏(法学部卒/TBSアナウンサー)、祖父江里奈氏(社会学部卒/テレビ東京ドラマプロデューサー)の女性4名が登壇。大学時代の思い出から、現在の仕事、後輩へのメッセージなどについて、自由に語り合った。

自己紹介では、それぞれ現在の写真だけでなく、学生時代の写真も披露して、会場を沸かせた。アナウンサーである山内氏が本職の技術を活かし、司会進行を担当。テレビのバラエティ番組さながらにゼミの話、部活動の話、学園祭の話など、一橋大学での思い出を他の登壇者から引き出し、会場を盛り上げた。事前の打ち合わせはほとんどできなかったにもかかわらず、4人の"バシ女"のチームワークにより、会場の参加者をも巻き込み、笑いの絶えない会となった。

最後に学生へのメッセージとして、横山教授が「すべての出来事には意味がある」と述べ、困難な経験も将来の糧になると励ました。祖父江氏は「女性も男性も関係なく、堂々と社会に出てほしい」と応援。倉田氏は「欲しいものを見極め、優先順位をつけて努力することが大切」とエールを送った。

画像:女子学生入学75周年記念企画「一橋を卒業した女性たちはいま」の様子

閉会挨拶

最後に中野聡学長が閉会の挨拶を行い、ホームカミングデーを通じて一橋大学が在学生、教職員、卒業生、そしてその家族を含む大きなコミュニティであることを改めて実感したと述べ、この「コミュニティ感」こそが一橋大学の大きな強みであると強調した。

また、今回は特に30代・40代の若い卒業生の活躍を示すことを目的に、イベントの企画や運営を若手卒業生に任せたことにも言及した。学長自身も来場者として楽しみ、卒業生や教職員陣の魅力を再認識する良い機会になったと語った。

さらに、一橋大学は規模が小さい分、一人ひとりの支援がとても大きな意味を持つと述べ、今後も力添えをお願いしたいとのメッセージをもって、閉会の挨拶を締めくくった。