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古の最先端が、今の最先端へと蘇った 如水会百周年記念インテリジェントホールの誕生

2015年秋号vol.48 掲載

一橋大学・国立西キャンパスにある別館。もともと本科理化学教室として建築されたこの建物において、当時の最先端設備を有するスペースであった「階段教室」は、時が流れ、老朽化が進むとともに人々の記憶から忘れ去られ、近年は倉庫として利用されていた。その「階段教室」が、文部科学省と如水会の支援のもと、最先端設備を配したホールとして生まれ変わり、2015年7月にオープニングセレモニーが行われた。

蓼沼宏一学長

学長挨拶
蓼沼宏一学長

義本博司文部科学省審議官

祝辞
義本博司文部科学省審議官

岡本毅如水会理事長

祝辞
岡本毅如水会理事長

佐藤宏理事・副学長

概要説明
佐藤宏理事・副学長

83年の時を経て生まれ変わった歴史ある「階段教室」の最先端設備

1932(昭和7)年、国立西キャンパスの本館東南部に、本科の理化学教室として建築された別館が完成した。地下1階、地上2階、タイル張りのこの建物にあって、その時代の最先端設備を配したのが「階段教室」だった。同年に発行された『一橋新聞』146号の記事では、この階段教室に触れて「指一本で暗黒界/日本最初の暗幕装置/魔術もどきで数々の仕掛」といった記述で、当時の最新技術に対する驚きの様子を伝えている。
しかし時が流れ、老朽化が進んだ別館の階段教室は、徐々に存在感を薄れさせていった。近年は授業で使用されることもなくなり、一橋大学の学園祭「一橋祭」の運営委員会や学生サークルが、保管物の倉庫代わりに使用するなど、教室としての役割を終えたかのように扱われていたのである。
その階段教室に再び息を吹き込む機会が訪れる。そのきっかけとなったのは、一橋大学の同窓会組織「如水会」が2014年に創立100周年を迎えたことだっり、1932年に竣工されたこの教室をリニューアルするための改修工事が同年10月にスタート。如水会百周年記念寄附金のほか、文部科学省が実施する国立大学改革強化推進補助金の援助を受け、誕生から83年を経た現代において、階段教室は再び最先端施設としての役割を担う「如水会百周年記念インテリジェントホール」として蘇ったのである。

以前の階段教室の外観

一橋大学の前身・東京商科大学の別館 1932(昭和7)年
(清水建設株式会社所蔵)

以前の階段教室の様子

階段教室 1932(昭和7)年(清水建設株式会社所蔵)

グローバルリーダー教育の中心として、そして世界的な研究の発信地としての役割

歴史と伝統を今に伝える趣ある外観を持ちながら、「如水会百周年記念インテリジェントホール」は現代の研究・教育現場にふさわしい姿へと生まれ変わった。その内部は、建築当時の階段教室としてのたたずまいを残しながらも最新の機能を備えている。
奥行き約20m、高さ約6mの空間に階段状に並んだ座席は全247席。前面に55V型フルハイビジョンLEDディスプレイ16面を使ったビデオウォールを配したこの教室では、大画面・高性能音響システムを活用しながら、講義を行うことが可能になっている。そのほか、電動カーテンは教室内の光量、音量、温度を調整する環境装置となるなど、"魔術もどきの仕掛"は現代に引き継がれ、床下スペースを活用した空調機器とともに、快適な空間づくりを実現している。
この場所は、多人数ディベート講義や国内外の研究者が集う国際カンファレンスの会場として大いに利用され、また研究者たちの交流や共同研究の場となり、世界的な研究実績や人材の発信における中心的役割を担っていくだろう。「如水会百周年記念インテリジェントホール」は、研究・教育両面でのグローバル化を推進する一橋大学の方向性とともに、まさにグローバルリーダー教育の中心としての機能を有する教室へのリニューアルを果たしたということだ。

新しい階段教室の内装1

新しい階段教室の内装2

セレモニーの様子1

セレモニーの様子2

華々しいセレモニーでは、如水会100年の歴史も紹介

映像投影の様子

映像投影
「如水会100年を振り返る」

テープカットの様子

(左から)岡田円治如水会理事・事務局長、岡本毅如水会理事長、蓼沼宏一学長、義本博司文部科学省審議官、山内進前学長によるテープカット。

2015年7月18日、その「如水会百周年記念インテリジェントホール」の完成を祝うセレモニーが開催された。施設の再生を支援した文部科学省から義本博司高等教育局担当審議官、如水会から岡本毅理事長と岡田円治理事・事務局長が来賓として参列。新たに導入された映像システムを使い、一橋大学の歴史と1914(大正3)年に創立された如水会の歴史を紹介する映像が流され、蓼沼宏一学長の挨拶、義本審議官、岡本理事長からの祝辞のあとには、佐藤宏理事・副学長によって施設の概要が紹介された。セレモニーの最後には、蓼沼学長、来賓の方々に加え、この再生プロジェクトのスタートに携わった山内前学長も壇上に立ち、リニューアルを果たした「如水会百周年記念インテリジェントホール」のスタートを告げるテープカットを実施。現代に蘇った最先端教室にふさわしい、華々しいオープニングセレモニーとなった。

(2015年10月 掲載)