新任者メッセージ
2021年4月1日 掲載
オンラインと向き合い培った知見・経験を共有し、教育・研究に活かしていく
塩路 悦朗
経済学研究科長・経済学部長
このたび経済学研究科長・経済学部長としてご挨拶をさせていただくにあたり、まず申し上げたいのが、昨年度(2020年度)、コロナ禍という厳しい状況の中で教育・研究活動を推進された先生方と、それを可能にしてくださった職員の皆さんへの感謝です。
昨春の時点では、経済学研究科・経済学部とも、オンライン教育に関してはまだ経験不足の状態でした。にもかかわらず、5月の連休明けにはすべての授業をオンラインでスタートできたのは、教職員の方々による試行錯誤の賜物です。改めて敬意を表します。あれから1年が経過し、集まってきたアンケートなどを読むと、「そこまで時間をかけて、授業の準備をされていたのか」と感嘆することも多く、真摯に立ち向かわれた先生方に対し、頭が下がる思いです。同時に、協力してくれた学部生・大学院生の皆さんにも感謝します。
このようにして積み上げられてきた知見・経験から、今後に活かせることも多数あります。たとえば、オンライン授業において、「こういうふうに行うと学生の反応が良くなる」「このようなセッティングにすると授業が効果的に進められる」など、先生方がそれぞれの体験をもとに蓄積された知見は、まず研究科・学部内でプールする必要があります。
また、研究科・学部の業務においても、オンラインに向いているもの・対面で行うべきものが少しずつ見えてきました。わざわざ国立まで通わなくても在宅で十分なパフォーマンスが発揮できる業務がありそうです。インフォーマルな議論や、初対面の方との打ち合わせは対面の方が向いているかもしれません。
それらの経験を集約し、研究科・学部の運営に活かしていきたいと思います。そして私たちが学んだことをさらに広く共有していければと願っています。(談)
経済学の高度な実証分析拠点としての認知度を、さらに高めていきたい
黒崎 卓
経済研究所長
一橋大学経済研究所は、「日本及び世界の経済の総合研究」を目的とした付置研究所です。このたびの経済研究所長就任にあたり、まずはその伝統を守り続けていく所存です。そのうえで、日本及び世界経済の高度な実証分析に関して、より多くの優れた研究成果を出していきたいと考えています。
コロナ禍により研究活動は大きな影響を受けました。特に、海外からの研究者を招聘し、共同研究を行いながら国際ネットワークを強化するという点につきましては、実現が難しくなっています。しかし一方で、「災い転じて福となす」という動きも進んでいます。所内の研究会はオンライン化が進むことでむしろ活発化し、これまでであれば参加が難しかった著名な研究者とも交流を図ることができました。また、欧米の大学・研究機関で学ぶ博士後期課程の学生を「客員研究員」というステータスで受け入れ、face to faceで成果を共有できる機会も創出できました。同時に、「コロナ禍を経て経済がどうなっていくか」という課題について、研究所のスタッフが個別かつスピーディーに研究に取り組んでいます。さらに、一橋大学に新設されるソーシャル・データサイエンス学部・研究科(仮称)へのバックアップなども行なっています。
今後につきましては、日本及び世界経済の高度な実証分析について、中核的な拠点としての認知度を上げること。国際的なジャーナルでの論文発表を通して貢献を続け、科研費の獲得において一橋大学内の全拠点でトップのポジションを守ること。最先端の学術研究の成果を、日本語・英語でわかりやすく発信し、実際の政策立案の参考としていただくこと。以上のような取組を通して、「社会科学、特に経済学を中心とした分析であれば一橋大学、さらにその中でも経済研究所」という認知をさらに高めたいと考えています。(談)