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ソーシャル・データサイエンス学部・研究科、交流拠点を整備

2023年10月2日 掲載

2023年秋、東本館内にソーシャル・データサイエンス学部・研究科の交流拠点がオープンする。このプロジェクトは、不動産大手の三菱地所株式会社(以下、「三菱地所」)と一橋大学との共同研究契約締結により実現した。その概要や狙いについてレポートする。

東本館に学部・研究科の交流拠点を開設

2023年3月16日、一橋大学と三菱地所は、データドリブンでの価値創造に資する空間デザインについて実証研究を行い、交流拠点の整備と活用、大手町・丸の内・有楽町エリア(以下、「大丸有エリア」)での実証研究を通して社会課題の解決を行うことを目的として、「データ駆動型社会における価値創造空間のデザインと実装」に関する共同研究契約を締結した。両者は、データサイエンスを活用し、産業界や地域を巻き込んだイノベーションプロジェクトが集積する空間・拠点づくりをはじめ、国立エリア及び大丸有エリアにおいて、空間を使った実証実験や他社との情報連携などを実施し、社会課題解決を目指していく。

その第一弾となる取組が、三菱地所の協力により、東本館の一部を交流拠点にリノベーションするというプロジェクト。概要は次のとおりである。

●コモンスペース

1階には、ソーシャル・データサイエンス関連資料を展示する一面のシェルフやカフェコーナーなどがあるスペースを設ける。教員や学生が日常的に気軽に過ごせるよう、カジュアルに寛げるスペースを意識。教員や学生だけでなく、共同研究を行う企業のスタッフも集まり、コミュニケーションが創発されることも狙っている。

テーブルや椅子は可動式にし、スクリーンやプロジェクターなどを用意して、セミナー開催など多目的に用いられるようにする。

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●研究スペース、ラウンジ

2階には、学生の研究活動向けのスペースや研究成果を展示するラウンジを設ける。学生が個人で集中して研究に没頭したり、少人数で議論したりすることができるようホワイトボードや可動式のテーブルを配置。

ソーシャル・データサイエンス研究においては、センサーを利用して人の動きをモーションキャプチャでデータ収集するといった実験や、バーチャルリアリティやロボットを用いたワークショップなども行われる。こうした器材や空間を用意し、学生単独及び企業との共同での研究活動を行えるようにする。

また、研究成果も展示し、企業などへのアピールの場としても活用する。

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この交流拠点は、一橋大学ソーシャル・データサイエンス学部・研究科が広く社会と接続していく拠点として、重要な"顔"となるだろう。

スタートアップ輩出や地域連携の拠点に
一橋大学大学院ソーシャル・データサイエンス研究科教授 檜山 敦

画像:檜山 敦氏

新設された交流拠点は、"一橋大学発ベンチャー"のインキュベーションセンターとなるとともに、地域にも開放し、地域の課題解決に役立つことができればいいと思っています。

インキュベーションセンターとしては、たとえば1階のコモンスペースにおける学生同士、学生と教員、あるいは学生と企業や地域などのカジュアルな会議の中でさまざまなアイディアが触発され、そのアイディアが2階北側のミーティングスペースで具体的に議論され、そこで導き出された方法論は2階の研究スペースで実証研究を重ね、具体的な成果として発表する、といった流れをイメージしています。

なお、ソーシャル・データサイエンス学部・研究科発ベンチャーとしては、テクノロジーを強みとする存在が想起されますが、本学の場合はあくまでも"ソーシャル"として、社会課題を解決することを眼目とするベンチャーを輩出していくことも意識したいと考えています。

こうしたインキュベーションだけでなく、地域社会との関わりも重要な役割であろうと思っています。たとえば行政が出先機関を置き、地域における課題解決のためのデータ収集・分析を行うといった取組も考えられます。あるいは、本学部・研究科から学生などを地域に派遣して共に課題解決に取り組むといった動きがあってもいいでしょう。

このように、この交流拠点は広く社会に開いた存在として、さまざまな人たちが集まる場となればいいと考えています。

この交流拠点づくりを主導していただいた三菱地所は、これまで東京大学や東京医科歯科大学などの共創プロジェクトや共同研究に取り組んでこられていますが、このほど本学ソーシャル・データサイエンス学部・研究科とも共同研究契約を締結してくださり、大変ありがたく思っています。こうしたお力添えを受け、我々教員一同としても、教育や研究活動を加速させていきます。

街や商業・ビジネス空間の魅力向上にデータを活用
三菱地所株式会社 xTECH運営部 運営・ビジネス開発支援ユニット 兼 プロモーション・エコシステムユニット 副主事 長野 笑生氏

画像:長野 笑生氏

一橋大学がソーシャル・データサイエンス学部・研究科を開設し、一般企業との共同研究やPBL(Project-Based Learning)に積極的に取り組む意向であることを知り、三菱地所としてもぜひ参画すべく、共同研究契約締結を申し入れさせていただきました。

私は一橋大学商学部の出身者ですが、"キャプテンズ・オブ・インダストリー"を輩出してきたわが国随一の大学として、社会課題解決のためのデータサイエンスに取り組むという趣旨に大いに共感しました。そして、本学部・研究科の学生さんや教員の皆さん、企業などが交流し、研究活動を深めていける施設づくりに協力させていただきました。

不動産業としての当社は、街や商業・ビジネス空間の魅力や価値をいかに高めるかというミッションを担っています。この課題に、データを大いに活用すべきと考えています。

たとえば、街中や施設内に多数の監視カメラが設置されています。現状は主に防犯のために活用されていますが、このカメラを用いてどのような時間帯や天候の際にどのような属性の人がどれだけ通行しているか、といったデータを収集するとともに、イベント開催フロア構成、店舗の業態などと人流変化を掛け合わせることで、どのような要素が集客に貢献しているかといったことを分析することが可能です。これまでは、複雑な要素が絡み合っているこうした不動産の価値向上施策は、勘と経験に基づいて行ってきた側面が強いです。これを、エビデンスベースで明確化できることがもたらす効果は非常に大きいものがあります。一橋大学とは、こうした共同研究やPBLに取り組んでいきたいと考えています。

不動産業界は、全体的にデジタル化が遅れていると指摘されています。当社は、一橋大学とデータ駆動型社会における空間の価値創造に関する研究に取り組み、業界のデータ活用をリードしていきます。