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HIASが立ち上げる、世界最高水準の国際研究人材獲得プログラム

2022年12月27日 掲載

世界水準の研究センターで先端的課題に切り込む

研究の一層の高度化と国際化を推進し、社会科学における世界水準の研究を実行するため、2014年に設立された「一橋大学社会科学高等研究院」(Hitotsubashi Institute for Advanced Study:略称 HIAS)。以来、「国際共同研究のハブとして機能すること」「日本及び世界の喫緊の社会的重要課題に対して学際的に取り組む部局横断的研究の中核となること」という2つの主要な役割を果たしてきた。

現在までに、グローバル経済研究センター(GLECS)/医療政策・経済研究センター(HIAS Health)/EBPM研究センター(HIAS EBPM)/地域・中小企業政策研究センター(HIAS SME)と順次設置を進め、各センターにおいて研究プロジェクトを推進。各学問分野における基礎・応用研究をベースに学術研究・国際共同研究を実施、社会提言や政策形成支援を行ってきた。

垣根を越えた研究を通して社会に貢献する

しかし、HIASウェブサイトにおいて中野聡学長が「国際水準に基づいて研究成果を検証し、必要に応じてセンターの再編」を行うと宣言しているように、HIASはアップデートの時期を迎えている。そのベースにあるのは、「一橋大学とは本来、どんな大学であったのか」という問いである。

一橋大学とはもともと学問分野間の垣根が低く、文理を問わずさまざまなバックボーンを持つ研究者が一堂に会し、「こういう面白い研究で社会に貢献したい」との思いから研究を進める場であり、それは今も変わらない。

とはいえ各センターによる研究が深化すればするほど、「研究の一層の高度化と国際化を推進し、社会科学における世界水準の研究を実行する」という本来の目的が見えにくくなっていた。そこで改めて学長直轄の部局横断型組織として再編を行い、「ひらく」、「つどう」、「つなぐ」グローバルな磁場へとHIASをアップデートすることになった。

HIASが掲げた2つの国際人材獲得プログラム

HIASのアップデートの一環として、構想されたのが、「世界最高水準の国際人材獲得プログラム-HIAS BRIDGES-」である。このプログラムは、優秀な若手研究者を国際公募する①若手研究者育成プロジェクト-HIAS BRIDGES Next-と②研究者招聘プロジェクト-HIAS BRIDGES Distinguished-の2本柱からなる。

①若手研究者育成プロジェクト-HIAS BRIDGES Next-

これはHIASにおいて5年任期の若手研究者を国際公募により採用するプログラムである。戦略的重点化領域(経済学/経営学/会計学・ファイナンス/政治学・国際関係学/心理学/データサイエンス/グローバル・ロー)を中心に、45名程度というかつてない規模の若手研究者を雇用し、研究に専念できる環境を提供すること目的としている。

すでに、第1回目の公募を実施、13名の採用を決定し、2022年10月現在、6名が着任している。今後、さらなる採用を目指し、10月から公募を開始している。

②研究者招聘プロジェクト-HIAS BRIDGES Distinguished-

これは①が若手研究者に特化したプロジェクトであるのに対して、すでに実績を有する著名な研究者をHIASに招聘して研究できる環境を提供し、学内の研究者と共同研究を実施するプロジェクトである。これにより更なる人材を呼び込む仕組みを形成し、同時に学内の研究者を刺激してその研究力の底上げにもつなげることを目的とする。

このような取組を通じて、世界的な人流のハブ機関としての機能を強化することを目的としている。

シンガポールやイタリアなどではすでに人材獲得を推進中

今回お話を伺った大月康弘理事・副学長(HIAS院長)によれば、上記のような取組はすでに世界中で始まっているという。

「ベンチマークにしているのは、本学とも関係が深いシンガポール経営大学(Singapore Management University:SMU)やイタリアのボッコーニ大学(Bocconi University)などです。特にSMUは国際人材獲得プログラムを推進することでプレゼンスを高めてきました。世界には、日本の文化や風土に魅力を感じて来日を希望する優秀な若手研究者がたくさんいます。本学及びHIASはそのような研究者に、思う存分研究に専念できる場を提供します。そして国内外を問わず、世界水準の若手研究者を育成し、5年を一つの区切りにして人材が循環する、国際的人流の拠点になることを目指しているのです」(大月康弘理事・副学長)

Industryの語源が指し示すもの

日本における国際的人流の拠点は、Captains of Industryを理念として掲げる一橋大学こそが担うべきポジションであることは論を俟たない。その拠点を構築するにあたり、研究をミッションとしたHIASが果たすべき役割は大きい。

大月理事・副学長によれば、「Industryはラテン語で"Industria=勤勉さ"を意味します。世界水準の有為な若手研究者が一橋のキャンパスで切磋琢磨し、研究に邁進することで、まさにCaptains of Industryの精神に沿った活動を展開してもらいたいと思います。さまざまなバックボーンを持つ研究者が一堂に会して研究に取り組むことで、また新しい問題解決のディシプリンも生まれることでしょう」という。ソーシャル・データサイエンス学部/研究科の参加も得て、一橋大学とHIASは今、新たなステージを迎えようとしている。

画像:世界最高水準の国際人材獲得プログラム