383_20200406_main.jpg

一橋大学法学部に「法曹コース」開設

2020年6月29日 掲載

一橋大学法学部は、2020年度から、法学部と法科大学院の既修者コース(2年)とを接続させる「法曹コース」を開設した。学部の早期卒業、法科大学院在学中の司法試験受験を利用すると、最短で5年で司法修習生になることができる。法曹コースの学生には、法科大学院の入学試験のうち法律科目の論文式試験を免除し、学部における成績と面接をもって合否を判定する「一貫型教育選抜制度」も設ける。このコースにより、法曹を志す学生に対し、より効果的・効率的な一貫教育を提供するとともに、学習スタイルの選択肢を増やすことを意図している。そこで、本コース設立時の法学研究科長・法学部長であった只野雅人教授(現・法学研究科教授)に話を聞いた。

法学部の基本科目が必修に

「法曹コース」は原則として2年次に選択・登録する(3年次での登録も可能)。3年で早期卒業する場合、本来4年間かける学部教育を3年で仕上げるため、コースの2年間は法学部の基本科目の多くを必修とした厳しいカリキュラムとなる。このため募集定員は25名程度に絞り、1年次冬学期までの累積平均GPA(GPA全対象科目)を基に選考する。
「法曹コース」登録者のみが履修できる必修科目として、「法律実務入門」も新設された。一橋大学法科大学院を修了し、第一線で活躍する弁護士が指導に当たる。「履修者には、ディスカッションや学外学習等を通じて、法律家の社会的役割やキャリアに対する理解を深めるとともに、法律文書作成の基礎を修得することを目指してもらう」と只野教授は話す。

拡充する学習スタイルの選択肢

「『法曹コース』の開設によって、学生の学習スタイルの選択肢が増えることになる」と只野教授は語る。従来、法学部では3年次から「法学コース」と「国際関係コース」のいずれかを選択することになっていたが、これに2年次からの「法曹コース」の選択肢が加わるからだ。かつ「法曹コース」を選択し、興味関心が変わった学生は、3年次から「法学コース」もしくは「国際関係コース」に変更することも可能だ。また、3年での早期卒業を考えず、1年間の長期海外留学を行って4年次で卒業する選択肢もある。「現代の法曹には、グローバルな視点や経験が極めて重要であり、学生時代における海外留学は貴重な機会となる。さらに、法曹コースに所属しなくとも、従来通り4年次に法科大学院を受験することも可能である。早期卒業以外にも、法曹になるための様々な選択肢がある」(只野教授)

「法曹コース」開設の背景と狙い

「法曹コース」開設の背景には、近年の法科大学院の志願者減少及び司法試験の予備試験受験者の増加が挙げられる。こうした状況の中、一橋大学としては、より多くの法曹志望者に法科大学院の利点を享受してもらいたいとの想いがある。法科大学院は、先の司法制度改革により法曹人口の増加と実務教育を充実化させる必要性などから発足した。「一橋大学法科大学院は、設立以来、屈指の司法試験合格率を誇り、優秀な法曹を輩出し続けるという大きな役割を果たしてきた。今後も同様に法曹教育を支えることが期待されている。予備試験は、早く法曹となって生活を安定させたいと考える学生にとって有効な選択肢であることは理解できる。しかしながら、社会人や他学の学卒者を含め多様な学生が集まる一橋大学法科大学院は、司法試験合格のための学力だけでなく、刺激的な環境の中、法曹に必要な視野の広さや人間性、生涯の財産となる人脈を得ることができる。多くの学生にこの環境を提供することは一橋大学の重要な使命である」と只野教授は強調する。法科大学院にアクセスするための選択肢を拡げることが「法曹コース」開設の狙いといえる。

2020年3月、最初の法曹コース登録者の選考が行われた。厳しい選考の要件にもかかわらず40名ほど応募者があり、期待の大きさをうかがわせた。今後の動向が注目される。

「法曹コース」(法学部3年+法科大学院2年)

法学部を3年で卒業し、法科大学院既修生コース2年間の教育課程、司法試験(在学中受験)を経て、最短5年で司法修習生になる。

画像:「法曹コース」(法学部3年+法科大学院2年)

「法曹コース」(法学部4年+法科大学院2年)

法学部に4年間在籍し、所定の成績を収めることで、一橋大学法科大学院への一環教育型教育選抜の対象になる。

画像:「法曹コース」(法学部4年+法科大学院2年)