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コロナ禍を乗り越え、中国人民大学との対面交流を再開

2023年10月2日 掲載

社会科学という共通項を持つ両大学の交流

2023年5月9日、中国人民大学の杜鵬副学長をはじめ、張暁萌国際交流処副処長、6学院(商学院、経済学院、応用経済学院、法学院、労働人事学院、社会と人口学院)の院長・教授ら25名が一橋大学を来訪。中野聡学長はじめ本学執行部との会談の後、一行は兼松講堂や附属図書館等を見学。佐野書院に場所を移し、「人民大学Day」開会セレモニーを開催した。両大学による記念品贈呈式、歓迎昼食会を経て各研究科に分かれ、環境問題や高齢化、社会保障など、国際社会が直面する諸課題について部局間で対話交流が行われた。

社会科学という共通の研究領域を持ち、さまざまな形で交流を重ねてきた両大学。コロナ禍が明け、今回ようやく対面での交流が再開した形だ。

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国際社会が抱える諸課題について両大学による対話交流が行われた(佐野書院)

人的関係の深さが、活発な交流の礎に

一橋大学と中国人民大学。両大学の交流の歴史は長く、かつ多岐にわたっている。その要因の一つに挙げられるのが人的関係の深さだ。たとえば、中国人民大学の張東剛党委書記(経済学者)は一橋大学に研究滞在の経験がある。同様に、本学大学院経済学研究科あるいは経済研究所に留学経験を持つ中国人民大学の教員は複数いる。自身も2016年4月から約4年半中国交流センターの代表を務めた青木人志理事・副学長は、本学大学院法学研究科に在学していた当時、同研究科に留学中であった楊建順中国人民大学法学院教授や、王雲海法学研究科教授(中国人民大学大学院を経て本学大学院を修了)と親しく一緒に学んだという。そして、現在、両大学の交流の実務面で汗を流してくれている楊東中国人民大学法学院教授は、本学大学院法学研究科修士課程、旧国際企業戦略研究科博士課程で学んだ後、中国人民大学の教員に迎えられている。このような深い人的関係が、両大学の交流の礎となっている。

画像:青木 人志氏
青木 人志理事・副学長

シンポジウム、共同研究などの学術交流

人的関係の深さを礎にした両大学は、さまざまな学術交流、学生交流を進めている。まず学術交流では、アジア政策フォーラムの定期開催(コロナ禍を挟んで9回実施)のほか、刑事訴訟法シンポジウムなど各種シンポジウムを開催。また、韓国・釜山大学を含めた日中韓3か国による東アジア法研究(2007年度から5年間)および東アジア地域における食品安全法制の比較法的研究(2016年度から3年間)を行ってきた。別稿で紹介するSIGMA研究シンポジウムにおいては、東アジアを代表する両大学のプレゼンスは極めて高い。

ダブルディグリー、グローバル・リーダーズ・プログラム、北京ツアー、そして卓球を通じた学生交流

学生交流も活発だ。具体的には、経営管理研究科国際企業戦略専攻および法学研究科におけるダブルディグリー・プログラム、経済学部のグローバル・リーダーズ・プログラムの一環として行われる中国への短期海外調査などが挙げられる。また、中国交流センターが実施する北京ツアーの受入れ先として、中国人民大学は最も頼りになる存在だ。ユニークな取組としては、「卓球交流」が挙げられる。青木副学長と王教授が本学の卓球部員を引率して北京に行き、学生の試合のみならず教員の試合も行われるという。青木副学長は「お互いに相手の国の言葉は挨拶程度しかできませんから、会話はもっぱら卓球です」と笑顔で語る。

今後のテーマは交流の未来を担う若手世代の育成

「次回はぜひこちらの新しい蘇州キャンパスで『一橋大学Day』を」という中国人民大学側の要望に応え、7月に一橋大学の面々が中国人民大学蘇州キャンパスを訪問し、「シルクロード学院」「国際学院」「中国フランス学院」との交流を通して相互理解をさらに深める素晴らしい機会を得た。このように、両大学は今後もさまざまな形で交流を続けていくことになるだろう。その際に重要になってくるのは、その交流の未来を担う若手世代の育成だ。青木副学長は、最後にこう語る。

「交流を通して実感するのは、やはり友人にならないと話が始まらないということです。中国人民大学では若い世代の教職員が橋渡しのために頑張ってくれています。本学でも同じようなポジションを担う人材を育て、さらに交流を深めていきたいですね」

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「一橋大学Day」開催の招待を受け、中国人民大学蘇州キャンパスを訪問