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一橋大学を舞台にしたSIGMA初の国際共同シンポジウム

2023年10月2日 掲載

初の共同シンポジウムをぜひ一橋大学で

2023年5月11〜12日、社会科学系9大学によるグローバル・アライアンス「SIGMA」の研究シンポジウムが、一橋講堂(千代田区)で開催された。2日目(12日)には、佐野書院(国立市)においてSIGMA学長会議も並行して開催された。

2015年に発足したSIGMAにとって、共同の研究シンポジウムは今回が初めて。一橋大学はその主催校に立候補し、シンガポール経営大学、パリ・ドフィーヌ大学(フランス)とともに企画運営に当たった。

Well-being研究のプレゼンテーターを国際公募

SIGMAでは新型コロナウイルス感染症が世界に広がる以前から、メンバー校によるオンライン共同講義を開講してきた。今回の共同シンポジウムもハイブリッド開催とし、オンラインの利点を活かすこととした。

シンポジウムのテーマは" Ageing and Well-being over the Life Course"。SIGMAメンバー校の研究者層が厚い分野である高齢化社会の福利厚生について、多面的に討議した。プレゼンテーターは国際公募にした。一橋大学で専用のWEBサイトを開設し、参加者を募ったところ、予想を超えた反響があった。アジア、アフリカ、中南米、北米、ヨーロッパ各国から応募が集まり、最終的に2日間で46名の研究者が研究発表や討論を行うという、実に活気溢れるシンポジウムとなった。当初は小規模な開催を想定していたが、見込みを大幅に上回る申し込みがあったため、研究発表を2つのルームで同時開催。企画運営に携わった山田敦副学長は、「本学にとっても、コロナ禍明けに開催した最初の大きな国際シンポジウムとして、非常に意義のあるものだった」と語る。

対面の学長会議で今後の展開が次々に打ち出される

2日目には、9大学のトップによる学長会議が開催された。学長同士はすでにオンラインで何度も接点を持っていたが、久々の対面でのコミュニケーションを通じて率直な意見交換が行われ、その場で次々に今後の取り組みが決められていった。

たとえば、SIGMAメンバー校の学生のWell-beingについてのリサーチを行い、論文にまとめるという企画だ。すでに2022年から行われているプロジェクトだが、各大学での進行を踏まえ、ジョイントペーパーの作成に向けた準備が本格化する。また、メンバー校の博士課程の学生を集めて研究発表を行う「ジョイントPh.D.セミナー」や、教員の評価(エバリュエーション)などに関する意見交換も行われる予定である。

そして、すでに多くの学生が参加し、高い評価を得ているオンライン・アクティブ・ラーニング型の2講座(SDGsとデジタル・トランスフォーメーションをテーマとするオンライン共同講義)については、今後も力強く推進していくことで学長たちの意見が一致した。

「ひらく、つどう、つなぐ。」を体現する場としてのSIGMA

今回の研究シンポジウム及び学長会議について、山田副学長は「とても開かれたものになった」と振り返る。前述の通り、研究シンポジウムには46名の研究者が参集したが、半数を超える27名の研究者はSIGMAメンバー校以外からの参加だった。このことはSIGMAにとって良い刺激となっただけではなく、「SIGMAの存在を世界に向けて改めて知らせるきっかけ」(山田副学長)にもなった。その点は、学長会議でも評価する意見が相次いだ。これこそが、一橋大学で研究シンポジウムと学長会議を開催した最も大きな成果の一つと言える。何より、中野聡学長が掲げる3つのキーワード、「ひらく(開放性を高める)」「つどう(多様性を高める)」「つなぐ(社会連携を強化する)」という第4期中期目標が体現された重要な場になったと言えるだろう。

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1.対面のSIGMA学長会議(佐野書院にて)

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2.SIGMA初の国際シンポジウム(一橋講堂にて)