令和8年学長年頭挨拶
皆様、明けましておめでとうございます。2026年の年頭にあたり、日頃より一橋大学の教育・研究・大学運営に携わっておられる教職員の皆様に、心より御礼を申し上げます。
昨年2025年は、9月24日に一橋大学創立150周年を迎え、1875年の商法講習所以来の歩みを振り返ると同時に、次の時代に向けて大学のあり方を改めて考える一年となりました。
各研究科、経済研究所、社会科学高等研究院など皆さまには、例年にも増して、一橋大学創立150周年記念シンポジウム、「一橋大学と社会をつなぐ講座シリーズ」など各種公開講座・学術フォーラムを、年間を通じて開催していただき、一橋大学の最新の研究力・研究成果を内外に発信していただきました。
5月には創立150周年記念・2025年度ホームカミングデーを開催し、国立キャンパスには多くの卒業生、在学生、関係者、市民の皆さまが賑やかに集いました。これらの行事の準備・運営にあたって、通常業務と並行して力を尽くしてくださいました多くの職員の皆様には本当にありがとうございました。
国際的な取り組みも活発な一年でした。学長として私もU7+アライアンス第7回サミット、台湾、北京で行われた創立150周年記念シンポジウムに参加する一方、ガーナ大学はじめ多くの海外大学から訪問団が来学、アジア政策フォーラムや、中国社会科学院日本研究所・上海財経大学との共同学術フォーラムなど、本学の海外学術ネットワークは着実に広がりを見せています。
研究・教育面では、9月に「未来を先導する世界トップレベル大学院教育拠点創出事業」への採択という大きな成果を得ることができました。これは一橋大学の卓越した人材育成の実績に対する評価とともに、学部・大学院一気通貫の改革を通じて日本の高等教育における新たな人材育成モデルを一橋大学が創造していくことへの大きな期待の表れでもあり、大きな責任を伴うものでもあります。教職員の皆さまには、事業の成功に向けて是非ともお力をいただきたく、どうぞよろしくお願いいたします。
2025年は、新たに開設した一橋大学インキュベーション・ベース(HIB)を基軸として、HIBラボの各種企画、経営者とのネットワークづくり、一橋大学発学生ベンチャー称号の授与など、スタートアップ支援とスタートアップ・エコシステムに向けた人材育成が本格始動した一年でもありました。
社会連携も飛躍的に拡大しています。主なものだけでも、共同通信社、J-PARCセンター、多摩信用金庫、国際刑事裁判所、金融庁などと連携・交流に向けた基本協定を結び、さらに阪急阪神不動産株式会社との国立宿舎跡地活用に関する基本協定など、一橋大学が社会の様々なステークホルダーと協働する枠組みを次々と具体化させています。とりわけ七月に、2000年以来の歴史をもつ東京外国語大学・東京科学大学との三大学連合にお茶の水女子大学を新たに迎えて四大学未来共創連合を発足させたことも大きな出来事でした。
現在、日本の国立大学は、個々の力のみならず集団としてより次元の高い「国立大学システム」として「イノべーティブな日本社会の創造」に挑戦しています。建学以来、独自の歴史をひとすじに歩んできた一橋大学もまた、その一翼を担い、社会科学系大学としての個性と魅力を大事にしながら、これら国内外の卓越した教育研究機関、政府・非政府機関、企業等と包括的・戦略的な連携を推進する取組を一層強化しています。
このように振り返りますと、2025年は、創立150周年という節目にふさわしく、教育、研究、国際連携、社会連携の各面で、多くの取り組みが同時に進んだ一年でした。その締めくくりとして11月30日に開催した「一橋大学創立150周年記念式典および記念祝賀会」は、松本洋平文部科学大臣を来賓に迎え、多くの関係者が一堂に会する中で、一橋大学が歩んできた道と、これから歩む未来を改めて考える機会になりました。この式典の舞台裏でも、準備、調整、運営に携わった多くの皆さまのご尽力がありました。この場を借りて、改めて心から感謝を申し上げたいと思います。
そして新たな年を迎えた一橋は、未来に向けて、「知の総和」向上をめざす社会の要請に応えて文理融合・課題解決の能力と国際性を兼ね備えた高度人材を育成する学部・大学院改革の推進や、日本の経済・産業力を支える科学技術の社会実装などに向けたスタートアップ・エコシステムとイノベーションを成功に導くための経営人材の育成・組織化などの課題に果敢に挑戦し、転換期の世界における混沌に立ち向かう勇者たるべく、未来を創造するために自らを革新していく営みを続けていこうとしています。その取り組みを支えるのは、他でもない、教職員の皆さまです。共に力を合わせていきましょう。
あらためて、日々それぞれの立場で本学を支えてくださっている教職員の皆様に感謝申し上げますとともに、本年の皆さまのご健勝・ご多幸を心よりお祈り申し上げまして、年頭にあたってのご挨拶とさせていただきます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
令和8年1月5日
一橋大学長 中野 聡