一橋教員の本

EU政策法講義

EU政策法講義

中西優美子編著
信山社 2022年9月刊行
ISBN : 9784797286311

刊行時著者所属:
中西優美子(法学研究科)

著者コメント

 1952年に欧州石炭鉄鋼共同体条約が、1958年に欧州経済共同体条約が発効した。その後、1993年に欧州連合(EU)条約が発効した。さらに、その後も条約改正が行われてきた。それらにより、EUに権限移譲された分野が拡大し、EU機関の措置が増え、EU法に深さと広がりをもたらされた。そのような中で、EU機構法やEU憲法の部分だけの解説では、EU法全体の理解をすることが難しくなってきている。


 そのような中で、EU政策法執筆の依頼を受けた。ただ、EU政策法を一人でカバーすることは難しいということで、他大学の先生のお力を借りて、物の自由移動、サービス・資本の自由(佐藤智恵先生・明治大学)、開業の自由・会社法(上田廣美先生・亜細亜大学)、競争法(多田英明先生・東洋大学)、知的財産法・情報法(カール・レンツ先生・青山学院大学)、自由安全司法領域の民事司法協力(中西康先生・京都大学)の章も含めることができた。


 本書は、序章と15の章から構成されている。EU法を全く知らない人は、序章を読んでから、関心のある章を読むことをお勧めする。本書では、それぞれの分野の基本的な法的枠組(骨組み)を提示し、そのうえでできるだけ新しい事象まで入れている。また、自分で新しい措置や判例を調べることができるように原資料のアクセスの仕方と資料の読み方について解説している。


 本書は、大学生がEU政策法の講義を受けるときの教科書というコンセプトで執筆している。本学では、2022年度に新設された「EU政策法」の教科書として指定した。しかし、大学生だけではなく、EU法以外の法分野の研究者、EU研究者、そして、仕事や新聞・ニュース等でEUという名前を聞くけれどよく分からないと思われる一橋大学OB・OG方にも読んでほしいと考える。



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