一橋教員の本

法の手引書 : マニュアルの法文化 (法文化 (歴史・比較・情報) 叢書 ; 19)

法の手引書 : マニュアルの法文化 (法文化 (歴史・比較・情報) 叢書 ; 19)

松園潤一朗編(但見亮 [ほか] 執筆)
国際書院 2022年3月刊行
ISBN : 9784877913144

刊行時編著者所属:

松園潤一朗(法学研究科)
但見亮(法学研究科)

編者コメント

 本書が主題とする「法の手引書/マニュアル」とは、実務家や一般人を対象に法知識を伝える書物や各種の文献・資料などを指します。裁判実務や訴訟の際に参照される諸文献のほかに、法学教育の教科書、外国法の翻訳書なども該当し、裁判や訴訟、法の普及・継受において重要な役割を果たしてきました。本書では序と2部10章の構成により、その歴史と現在が論じられます。


 第Ⅰ部「歴史的な諸形式―日本・西洋―」の6篇では、室町幕府の法と手引書、近世日本における往来物(目安往来物)、明治初年における西洋法の翻訳書、ビザンツ帝国の法の手引書、西洋中世の訴訟法書がそれぞれ取り上げられ、理論法学の文献とは区別される実務の手引書がドイツから近代日本に継受される過程が示されます。 第Ⅱ部「現代における諸機能」の4篇では、「新中国」における法とマニュアル、国際人道法の普及プログラム、日本の法教育の文献がそれぞれ教化・教育の観点から検討され、現代日本の立法に影響を与える手引書としてメディア言説が分析されます。


 「法の手引書/マニュアル」は法の歴史と現在の双方にわたる幅広い研究上の意義を有し、地域間の比較は法文化の認識に資するものですが、未開拓な研究対象と言えます。その多様な内容や形式、機能を明らかにした本書を通じて最新の議論に触れていただけたらと思います。(松園潤一朗)



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