一橋教員の本
ジョイスの挑戦 : 『ユリシーズ』に嵌る方法
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金井嘉彦, 吉川信, 横内一雄編著 |
著者コメント
20世紀最大の作家のひとりにあげられるジェイムズ・ジョイスは1882年2月2日に生まれました。その40歳の誕生日に合わせて彼を代表する作品『ユリシーズ』が出版されました。 ジョイスの誕生日を祝って、『ユリシーズ』出版100周年を祝って編まれたのが『ジョイスの挑戦――「ユリシーズ」に嵌る方法』(言叢社、2022)になります。ちなみに、この本は、『ジョイスの罠――「ダブリナーズ」に嵌る方法』、『ジョイスの迷宮(ラビリンス)――「若き日の芸術家の肖像」に嵌る方法』に次ぐ「嵌る」シリーズ三冊目になります。
『ユリシーズ』は読むことができない。できるのは再読できることだ。そう書いた批評家がいました。この言葉はこの作品が難解だから読めない、なんども読み返すしかない、ということを言っているのではなくて、『ユリシーズ』は再読すると、それまでまったくつながりの見えなかったところに、つながりが見えて、一気におもしろく読めるということを意味しています。今回の論集では、 再読を運命づけられた『ユリシーズ』を、次の100年も読み続けるために、これまでの100年の読みを清算し、『ユリシーズ』読解の新しい地平を切り開いています。作品の構造・背景を知るための『ユリシーズ』初心者向けコラムも充実させています。アイルランド文学を理解するのにも、この時期の英語圏文学を理解するのにも役に立つと思います。(金井嘉彦)