一橋教員の本

戦後日本の文化運動と歴史叙述 : 地域のなかの国民的歴史学運動

戦後日本の文化運動と歴史叙述 : 地域のなかの国民的歴史学運動

高田雅士
小さ子社 2022年1月刊行
ISBN : 9784909782120

刊行時著者所属:
高田雅士(社会学研究科)

著者コメント

 本書は、著者が2020年3月に一橋大学大学院社会学研究科に提出した博士論文をもとにしたものです。地域における国民的歴史学運動の展開に注目することで、戦後日本の文化運動と歴史叙述のありようについて検討することを課題としています。


 国民的歴史学運動とは、1950年代前半に歴史研究者によって提唱された運動で、そこでは人びとが自分たちの身の回りの歴史を書いていくことが目指されました。しかし、日本共産党の当時の政治方針とも密接に結びついた運動でもあったため、運動が「挫折」した後、歴史学界においては学問を政治に従属させた「忌まわしき過去の悪夢」として長年タブー視されてきたという経緯があります。


 本書では、そうした国民的歴史学運動の内実について、地域の視点から再検討することを試みました。運動の歴史をタブー視してきたのは、あくまで中央の歴史学界や歴史研究者たちであり、運動が実際に展開された地域社会においては、また異なる受け止め方があったのではないか、という関心が出発点になっています。歴史と社会、歴史と人びととの関係性とはいかにあるべきか――。そのような問いを、国民的歴史学運動を通じて検討した一冊です。ぜひ一度お手にとってみてください。



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