一橋教員の本
ジェンダーについて大学生が真剣に考えてみた : あなたがあなたらしくいられるための29問
一橋大学社会学部佐藤文香ゼミ生一同著 |
著者コメント
本書は一橋大学社会学部のゼミ生たちによる課外活動の成果です。
執筆のきっかけはゼミの前後や休憩時間における学生たちの雑談でした。あるときは友人、あるときはバイト先の店長、またあるときは父親から、あんなこと聞かれた、こんなこと言われた、と彼らはよく自身の経験をゼミテンたちとシェアしていました。
身近な人間関係の中できわめて真面目に苦悩するその姿を見ながら、ゼミテンの間でtipsとして知の継承ができないものか、と考えるようになりました。
プロジェクトは2017年春に始動。実際に投げかけられた問いを集め、ホワイトボードに貼ってグルーピングをし、各班にわりふって答えを持ち寄り検討するという作業を積み重ねていきました。
最終的に収録した問いは全部で29問。素朴な疑問を集めた第一章、セクシュアル・マイノリティに関連した第二章、フェミニズムについての第三章、逆差別を扱った第四章、そして性暴力の第五章、と五章立ての構成になっています。
問いに対してまずは端的に応答し、そののちに丁寧な解説をとる形式をとり、初心者から上級者まで読みごたえのある本にしたい、という志をもって「ホップ」、「ステップ」、「ジャンプ」の三段構えの回答にしました。
足かけ2年の課外活動は、時に夜9時をまわることもありましたが、みな自主性と熱意をもってやり遂げました。
2019年6月の刊行後、反響は大きく、メディアの取材や講演依頼がひきもきらずに版を重ねています。
おそらく、本書で扱われている問いが、ジェンダーに関心を抱く者ならば、誰もが一度は直面する「あるある」であったからでしょう。
本書をきっかけにジェンダーについて議論の輪が広がっていくこと、執筆者の学生たちが得た知恵と勇気が本書の読者にも分けもたれていくことを、心から願っています。