一橋教員の本
大槻文彦『言海』: 辞書と日本の近代 (世界を読み解く一冊の本)
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安田敏朗著 |
著者コメント
大槻文彦『言海』は、日本初の近代的な辞書とされています。本書では、いったいどのような点が、どのような意味において「近代」的であるのかについて、書いてみました。それは『言海』の構成そのものから考えることができるばかりではなく、江戸生まれの仙台藩士として幕末に知的訓練を受けた大槻文彦が、明治の激変する世の中をいかようにとらえていたのか、という側面からも考えることができると思います。本書は「世界を読み解く一冊の本」というシリーズの一冊ですが、はたして辞書から「世界」をどのように読み解くことができるのか、疑問に思う向きも多いでしょう。しかし、言語と近代とを考えるひとつの視点を示すことができたのではないかと考えています。