一橋教員の本
近代日本言語史再考 5. ことばのとらえ方をめぐって
安田敏朗著 |
著者コメント
本書は、
「国語」と「日本語」はどこがどうちがうのか、
日本の「言語学」はなにをめざそうとしていたのか、
思ったままを書く「日記」はありえたのか、
関東大震災時の朝鮮人識別法とされた「15円50銭」はどのように発生したのか、
戦前の日本で「ハングル」はどのようにとらえられていたのか、
植民地朝鮮で朝鮮人学生はどのような日本語を話していたのか、
エスペラントで自由な交流をめざしていた若き言語学者はなぜ逮捕起訴され病死しなければならなったのか、
中国の文字改革に日本の陸軍軍医監はなにをみようとしていたのか、
敗戦直後に『読売報知』の社説がなぜ漢字廃止を訴えたのか、
1950年にスターリンが言語学について発言したときに日本の言論界がおしなべてなびいたのはなぜか、そして
「やさしい日本語」にはどのような問題点があるのか、
というきわめて雑多なテーマをあつかったものです。
「ことば」をとらえるさまざまな枠組みを知り、なおかつそこにはたらく排除の力学を感じることで、世界をとらえる多様で柔軟な思考法の一端をつかみとってもらえたら、さいわいです。