一橋教員の本

想像力の時制 : 文化研究‎2‎‎

‎想像力の時制 : 文化研究‎2‎‎‎

レイモンド・ウィリアムズ著 ; 川端康雄編訳 ; 遠藤不比人, 大貫隆史, 河野真太郎, 鈴木英明, 山田雄三訳
みすず書房  2016年2月刊行
ISBN : 9784622078159

刊行時著者所属:
 河野真太郎(商学研究科)

著者コメント

 本書は、『共通文化にむけて 文化研究I』に続く、レイモンド・ウィリアムズの著作の日本独自編集版翻訳です。レイモンド・ウィリアムズ(1921-1988年)は、文学批評では「カルチュラル・スタディーズの父」と呼ばれる存在ですが、ウィリアムズの著作と活動はそのような名称では汲み尽くせないものがあります。本書は一部を除いて、これまで日本語に翻訳されてこなかったウィリアムズの著作をテーマ別に集め、ウィリアムズの全体像に多角的に迫る狙いをもったものです。全体は四部構成で、第一部「歴史・想像力・コミットメント」ではウィリアムズはのSF論やユートピア論から、政治的・歴史的想像力の問題に迫ります。第二部「アヴァンギャルドとモダニズム」は、社会主義者ウィリアムズによるモダニズムの批判的な検討とリアリズムの擁護を主題とします。第三部「文学研究と教育」は、ウェールズの労働者階級出身ながらケンブリッジ大学で学び、その後は成人教育にたずさわり、再びケンブリッジで教鞭を執ったウィリアムズならではの、教育と文学、そして社会をめぐる論考を集めます。第四部「文学と社会」は、二冊にわたる論集の締めくくりにふさわしく、ウィリアムズの基本問題ともいえる文学(文化)と社会との関係を考察する文章で構成されています。本紹介文を書いている訳者は、本書が出版された時点で在外研究でウィリアムズの生まれたウェールズに滞在していました。そこでは、イングランドや、はたまた日本とはまったく違うかたちで、「文学」や「文化」と、人びとの社会的・政治的生活が結びついている感覚がありました。この「感覚」抜きに、ウィリアムズの仕事を「文化研究」として括ってしまうことで何が見失われるか、本論集はそれを伝えるものになっていると思います。



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