一橋教員の本
ジェネラル・パーパス・テクノロジーのイノベーション : 半導体レーザーの技術進化の日米比較
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清水洋著 |
著者コメント
ジェネラル・パーパス・テクノロジーというのをご存知でしょうか。
これは、さまざまな製品やサービスに応用できる汎用性の高い技術です。
代表的な例は、蒸気機関です。
蒸気機関は、産業革命を牽引した重要な技術でした。
鉱山の揚水や蒸気機関車、蒸気船などに幅広く応用され、私たちの社会・経済を大きく変革しました。
このような技術は頻繁に生み出されるものではありませんが、そのインパクトは大きく、長期的に経済の生産性を上げ、私たちの生活も大きく変えていくものです。
このような技術は、どのように生み出され、進化していくのでしょう。
本書では、日本とアメリカのレーザーの進化のプロセスをケースとして、ジェネラル・パーパス・テクノロジーにおけるイノベーションを分析しています。
特に本書が注目しているのが、スピンアウトがどのようにイノベーションのパターンに影響をあたえるかという点です。
アメリカのシリコンバレーにける半導体産業の興隆以降、スピンアウトはイノベーションの重要な源泉の1つと考えられるようになりました。
既存企業では追究が難しいようなビジネス・チャンスを見つけて、飛び出していく企業家たちが大きく注目されてきました。
そのため、スピンアウトやそれを促すベンチャー・キャピタル、
あるいは労働市場の高い流動性、知識の波及効果をもたらすネットワークなどの整備が進められています。
しかし、本当にこれらの制度はイノベーションを促進するのでしょうか。
特に、汎用性の高い技術にはどのような影響があるのでしょう。
これが本書の背後にある素朴な疑問です。
日本とアメリカのナショナル・イノベーション・システムやスピンアウト、スタートアップ、イノベーションのパターンなどに興味がある方には、ぜひとも手にとって頂きたいと思っております。