一橋教員の本
「うまい!」と言わせる文章の裏ワザ
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石黒圭著 |
著者コメント
現在、言葉の正しさを主張し、「○○をしてはいけない」という言説がちまたに溢れています。文章を書く場合にかぎってみても、「文は長く書いてはいけない」「デス・マス体とダ体を交ぜて書いてはいけない」「擬音語・擬態語を使ってはいけない」などがあります。しかし、ほんとうにそうでしょうか。
部分的には「そうだ」と言えるのですが、全面的に「そうだ」と首肯することはできません。言葉は、そのような重苦しい規範から逃れたがる傾向があり、現実の文章では、「いけない」と言われていることが密かに用いられ、高い表現効果を上げているのです。
本書は、「いけない」と言われていることの意義を認めつつ、しかし、それだけに留まらない言葉の柔軟な運用を試みるウラオモテのある文章読本です。