一橋教員の本

巴金論集

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坂井洋史
復旦大学出版社 2013年7月刊行
ISBN : 978-7-309-09609-5

刊行時著者所属:
 坂井洋史(言語社会研究科教授)

著者コメント

本書に収録したのは、1983年以来私が書いてきた巴金関係の文章のほぼ全てです。第一輯に収めた論文の内7篇は、1996年にもう一人の日本人著者と共著の形で刊行した『巴金的世界――両個日本人論巴金』(北京東方出版社刊)と同じものですが、この論文集をいわば“定本”とする心算で、この部分に関しては全面的な見直しを行いました。とはいえ、それは中国語表現の規範化、『巴金全集』を底本とした注釈の整備など、技術的な面に限り、後知恵は加えておりません。その他の文章は概ね中国で発表してきた、日本では未発表のものが殆どです。巴金という作家は、長年私の中国近代文学研究の柱の一つだったのですが、30年間でこれだけしか書いていないことを恥ずかしく思う一方で、30年前に、しかも卒業論文で出した仮説が、今日の研究水準に照らしても一定の有効性を失っていないらしいことには、聊か慰められぬでもありません。



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