一橋教員の本
〈田舎と都会〉の系譜学 : 20世紀イギリスと「文化」の地図
河野真太郎著 |
著者コメント
本書は20世紀イギリスの文学作品と文化論を、題名にある「田舎と都会」の感情構造(そしてその延長線上にある国民国家と帝国、そしてグローバリゼーションといったものの地理的想像)、そしてそれが「文化」の概念と実践と交差する様を記述しつつ論じ、その系譜が私たちの生きる現在をいかにして構成しているかを主題とするものです。私たちの生きる現在とは、「文化」が社会からの分離をこうむり、文化が社会をよりよくするという想像が困難になった現在であり、それは広くは新自由主義と呼ばれる状況の一部を構成していると考えられます。対象となる作家・著述家はJ.コンラッド、V.ウルフ、E.M.フォースター、夏目漱石、イタリア未来派、F.R.リーヴィス、Q.D.リーヴィス、R.ウィリアムズ、A.シリトー、J.G.バラード、K.イシグロなどです。本書は本学大学院言語社会研究科で博士号を取得した博士論文『田舎者の英文学』を改訂したものです。