一橋教員の本
ジェンダーと「自由」 : 理論、リベラリズム、クィア
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三浦玲一, 早坂静編著 |
著者コメント
ジェンダー研究の現在を、人文学の視座から考察しています。今日、私たちの世界のジェンダー観・セクシュアリティ観は、基本的に、よりリベラルな方向に変容しつつありますが、それは、フェミニズムとセクシュアル・マイノリティのアクティヴィズムの課題が解決されたということではないと、私たちは考えます。
本書では、自由の拡張を目指すリベラリズムの原理とは異なった視座から、それをむしろ批判的に再検討するような観点から、フェミニズムとセクシュアル・マイノリティの運動の問題を考察しています。表題は、端的には、女性とセクシュアル・マイノリティの解放運動が、グローバル化のなかの(ネオ)リベラリズムの原理に簒奪されてしまったのではないかと危惧に由来しています。
本書はこうした見地に立って、新しいフェミニズムとセクシャル・マイノリティのアクティヴィズムの枠組みを模索しています。
本書は、2011年に彩流社から出版された『ジェンダー表象の政治学』(中井亜佐子・吉野由利編)の続刊となります。『ジェンダー表象の政治学』と同様に、本書もまた、一橋大学のリレー講義「ジェンダーから世界を読む」をもとにして制作されました。
(早坂静)