一橋教員の本
都市空間に潜む排除と反抗の力
町村敬志編著 |
著者コメント
差別と排除の「いま」を問う6巻シリーズの1冊として刊行された本書は、都市・空間・労働に焦点を当てています。路上生活者、在日朝鮮人、新来の外国人住民など差別や排除に直接さらされてきた人びとによる空間領有の試み、現代都市において不安定就労を強いられている労働者の生活世界、さらにそうした労働者が排除に対抗するために繰り出す拠点形成の実践といった、多様なテーマを本書は扱います。今日、格差や差別はふたたび空間という形をとって姿を現すようになっています。また空間を介してそれらはしばしば増幅されてもいます。しかし同時に、都市の空間は、格差や差別に直面した個人が異化や反抗を具体的形にしていく最初の現場でもあります。本書を通じて、都市空間のもつ思いがけない「奥行き」を見つけ出す体験を積んでいただければ幸いです。