一橋教員の本

税制改革のミクロ実証分析 : 家計経済からみた所得税・消費税

税制改革のミクロ実証分析 : 家計経済からみた所得税・消費税

北村行伸, 宮崎毅著
岩波書店 2013年2月刊行
ISBN : 978-4-00-009921-9 本体5,200円+税

刊行時著者所属:
 北村行伸(経済研究所教授)

著者コメント

 日本経済が1990年を境に停滞した基本的な理由は資産バブルの崩壊とそれに伴う企業や金融機関、個人のバランスシート調整が、通常の経済活動より優先され、しかも、その調整に時間がかかったということにある。景気の低迷や円高が慢性的なデフレ状態を生み出し、経済成長に勢いがつかないまま20年が過ぎ去ってしまったというのが実情だろう。加えて、人口減少と少子高齢化が同時に進行するなかで、年金や保健医療などの社会保障費が急激に拡大してきた。

 これらの日本経済の構造的な問題に対して、政府は歳出が一方的に拡大する中で、税収が落ち込み、その差を国債発行で賄ってきた。しかし、政府債務残高はGDP比で先進国最悪の200%を超える水準に達しており、増税を通した財政再建が不可避の状況に直面している。

 本書は財政を立て直すことなしには、経済の安定的な成長は望めないという意識に立ち、高齢化社会で財政健全化への道筋をつける税制改革の具体的な施策を提案することを目的としている。具体的には次の3点に焦点を当てた。①所得税の最高税率の引き上げの可能性、②所得税の再分配機能の検証、③消費税率の引き上げ、である。



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