一橋教員の本
武士に「もの言う」百姓たち
武士に「もの言う」百姓たち渡辺尚志著 |
著者コメント
本書は、訴訟・裁判という切り口から、江戸時代の百姓と武士の関係について考えてみようとするものです。今日、テレビ番組や時代小説で江戸時代が取り上げられるとき、その主役はたいてい武士か町人です。けれども、実は江戸時代の人口の8割は百姓でした。したがって、百姓を語らずして江戸時代を語ることはできません。本書は、その百姓を主人公にしています。江戸時代の百姓たちは、自らの利益を守るためには積極的に訴訟を起こし、武士に対しても堂々と自己主張していました。そうした「もの言う民」としての百姓の姿を明らかにして、従来の「もの言わぬ悲惨な民」としての百姓像を転換したいというのが、本書の大きな目的です。