一橋教員の本
モダニズムの南部的瞬間 : アメリカ南部詩人と冷戦
モダニズムの南部的瞬間 : アメリカ南部詩人と冷戦越智博美著 |
著者コメント
本書は、1920年代米国南部のモダニズム作家とその作品が、ローカル文学にとどまらずにアメリカのモダニズム文学を、それどころかアメリカを代表する文学になったのは何故かをめぐって、南部の保守的知識人の言説とその位相とを、1920年代から冷戦期にかけて辿りつつ考察したものです。合衆国南部の文学論、文学史論ですが、同時にアメリカにおけるモダニズム論、あるいはアメリカ文学の研究史でもあります。しかし、こうした視点はまた、わたしたちの自己形成に大きな影響を与えてきた(文学も含めた)戦後のアメリカ文化がいかなる政治性を帯びたものだったかを再考する足がかりでもあるのです。その意味では、「わたしたちの文学史・文化史」としても読まれて欲しいと願っています。