一橋教員の本
未決拘禁法と人権
未決拘禁法と人権葛野尋之著 |
著者コメント
本書は、前著『刑事手続と刑事拘禁』(現代人文社、2007年)を発展させて、未決拘禁の最終手段性の確保、勾留決定・審査手続の対審化、「捜査と拘禁の分離」と代用刑事施設、身体拘束中の被疑者取調べの適正化、被逮捕者に対する公的弁護の保障、捜査目的・拘禁目的による弁護人接見の制限など、未決拘禁法をめぐる諸課題について、法解釈論的、さらには立法論的解決を示し、これら諸課題に通底する問題、すなわち「取調べのための身体拘束」の克服を目指している。
身体拘束状態を利用した濃密な被疑者取調べこそが、特殊日本的な刑事手続を支える核心的要素であったことから、「取調べのための身体拘束」という問題に収斂する未決拘禁法をめぐる諸課題は、実際上解決困難なものとして捉えられてきた。これらの課題を明確化し、その解決策を導くにあたり、本書は多くの部分において、国際人権法の要請を明らかにし、それを日本法のなかに具体化するというアプローチをとっている。
本書は、財団法人・一橋大学後援会の武山基金による出版奨励事業の助成を受けて、刊行された。