一橋教員の本
祝祭としての文学
祝祭としての文学佐々木滋子著 |
著者コメント
1872年、コミューンの余燼さめやらぬパリにやってきたマラルメには、ある野心があった、コミューンという出来事がその存在に照明を当てた「大衆」という新たな文化的主体を自らの公衆とするような、新たな文学・芸術の形式を創出すること。この野心の実現を、マラルメは、まず新たな「演劇」の、次いで「書物」の、企てを通して追及することになる。そこで彼が目指し、作り出そうとしたものはいったい何だったのか、また、彼がこの企てを通して考究していた人間の「生」の事態はいかなるものだったのか?本書では、多様なジャンル(国際博覧会探訪記事、モード雑誌、美術評論、演劇時評、ワグナー論、時事評論、文学評論、書物論、等々)に亘る後期マラルメの散文を丁寧に読み解きながら、この問題を考えようとした。