一橋教員の本

国際金融危機の経済学

 
 

国際金融危機の経済学

 ジャン・ティロール著, 北村行伸, 谷本和代訳
東洋経済新報社   2007年11月刊行
ISBN:9784492654057   本体2,000円+税
 刊行時訳者所属:北村行伸(一橋大学経済研究所)

訳者コメント

本書は第2次世界大戦後のブレトンウッズ体制下で設立された国際金融機関である国際通貨基金(IMF)や世界銀行、あるいはその下で機能してきた国際通貨体制を、近年多発した新興市場での金融危機への対応という観点から見直したものである。
著者のジャン・ティロールは経済理論とりわけ産業組織論やゲーム理論の分野で世界の中心的な役割を担ってきた学者で、国際金融は彼の専門領域ではないが、組織がうまく機能するためにはどのような制度設計が望ましいか、国際金融市場で失敗が起こるとすれば、それは何に起因するものなのか、政府や国際金融機関はどのような役割を担うべきなのかといった本源的な質問を発し、それに答えを与えている。 戦後、国連を始めとして、いくつかの国際金融機関が創設され、今後さらに追加されようとしているが、そこには明らかに任務の重複が見られる。ティロールは国際機関の役割分担とそのガバナンスをどうすればいいのかといった観点からも問題提起をしており、国際機関の役割について考えるには最適の一冊であると言えよう。(北村行伸)



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