一橋教員の本

境界性パーソナリティ障害の弁証法的行動療法 : DBTによるBPDの治療

 
境界性パーソナリティ障害の弁証法的行動療法 

境界性パーソナリティ障害の弁証法的行動療法 : DBTによるBPDの治療

 マーシャ・M・リネハン著,
岩坂彰, 井沢功一朗, 松岡律, 石井留美, 阿佐美雅弘
誠信書房   2007年6月刊行
ISBN:9784414414240   本体9,000円+税

訳者コメント

この本は、リストカットなど自殺類似行動を繰り返す境界性人格障害の女性たちに対して、アメリカで効果が認められている弁証法的行動療法の教科書である。あるがままを受容する来談者中心療法と変化を促す行動療法を弁証法的に総合したのが、弁証法的行動療法である。個人心理療法とSSTと電話コンサルテーションからなる外来心理療法である。  この弁証法的行動療法では、境界性人格障害の患者を、問題対処行動の不足と理解し、対処行動をどう身につけるかに焦点を当てている。プログラムのドロップアウト率が低く、自殺類似行動が減り、入院率が減ったことで、評価を得ている。  従来、別々の学派に分かれていた心理療法も、最近は本著作のようにより高い効果を上げるために、学派を統合していく動きになってきている。また、従来の心理療法は1対1の徒弟制度のような中で心理臨床家を育てるのが主流とされていたが、弁証法的行動療法は、学習可能で教授可能である。臨床心理学の発展にも寄与した著作である。(阿佐美雅弘)



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