一橋教員の本
批評の瞬間
批評の瞬間 |
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ヴァルター・ベンヤミン著 ; 浅井健二郎編訳 ; 土合文夫, 久保哲司, 岡本和子訳 筑摩書房 2007年3月刊行 ISBN:9784480090256 本体1,500円+税 | ||
訳者紹介:久保哲司 |
訳者コメント
ドイツの批評家・文筆家ヴァルター・ベンヤミン(1892-1940年)は、ナチス・ドイツを逃れてフランスに亡命し、さらにアメリカに渡る途上で非業の死を遂げましたが、彼の遺した多彩な著作は、1960年代末から広く読まれるようになりました。そして近年では文学批評のみならず、たとえばメディア論やカルチュラル・スタディーズなど現代思想のさまざまな分野において、最も頻繁に言及され引用される存在のひとりとなっています。筆者も翻訳チームに加わっている『ベンヤミン・コレクション』のシリーズは、ベンヤミンの主要著作を新訳で収めるもので、詳しい訳注も付せられています。10年前に全3巻が完結しましたが、このほど続編としてさらに3巻が刊行されることになりました。この第4巻の中心をなす作品は、「ボードレールにおける第二帝政期のパリ」と「ブレヒトの詩への註釈」です。この二つは文章も平明で、また扱われている対象が比較的馴染み深いこともあり、ベンヤミンの著作のなかでは最も分かりやすいものに属します。そのほかこの巻に収められているのは、書評やラジオ放送原稿などの短い文章が多く、これらもかなりとっつきやすいと思います。(久保哲司)