一橋教員の本

世代間衡平性の論理と倫理

 
世代間衡平性の論理と倫理 

世代間衡平性の論理と倫理

 鈴村興太郎
東洋経済新報社   2006年7月刊行
ISBN:4492313699   本体4,400円+税

編者コメント

もともとひとは、過去・現在・未来の諸世代の連鎖構造の一環として生きる存在でありますが、この普遍的な世代間関係を激しく揺さぶる変化が、最近注目を集めつつあります。地球温暖化や自然資源の枯渇など、長期的な環境問題の深刻化に伴って、世代間・地域間の利害対立が激化しつつあることは、このような変化の顕著な実例です。また、人口の少子高齢化の急速な進行が世代間扶助システムを破綻の危機にさらしつつあることも、同様な変化のもうひとつの実例です。創始者アーサー・ピグー以来、人間生活の改善の道具を鍛えることを課題としてきた厚生経済学は、焦眉の急を告げる世代間関係の危機の論理と倫理に対して、どのような理解の光を投げることができるのでしょうか。ピグーに強い影響力を振った倫理学者ヘンリー・シジウィックは、将来世代の効用を現在世代の効用と比較して割引く慣行を倫理学の観点から強く批判しましたが、異時点間の資源配分を議論する経済理論は、この主旨の批判に対してどのように態度決定すべきなのでしょうか。本書は、このような問題設定のもとに厚生経済学者、経済学史研究者、法哲学者、経済哲学者が5年間にわたって共同研究を行なった成果です。(鈴村興太郎)



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