一橋教員の本

民法における倫理と技術  

 
民法における倫理と技術  

民法における倫理と技術

 小野秀誠
信山社   2006年9月刊行
ISBN:4797224614   本体12,000円+税
 著者紹介

著者コメント

法において、倫理が問題とされた例は多い。利息制限法がそうであったし、法曹倫理の起源も古くに遡る。他方では、近時は、先端医療技術の発展に伴い、生命倫理が問題とされている。本書では、先端技術 (とくに先端医療や IT 技術) における法と倫理に関する考察を行い、ついで、おもに専門家の責任との関連で、企業倫理の問題を扱っている。判例研究の部分は、おもに利息制限法に関係する。2006年の一連の最高裁判決は、同年の貸金業法の大改正 (グレーゾーン金利の撤廃) の契機となったが、これにいたる判例の動向を検討している。さらに、倫理にも関係する種々の法の動向を検討し、あわせて鳥瞰的に法曹養成と近代民法典の変遷を追った。
社会や技術の高度化にともない、新たな倫理の必要性や技術に藉口した倫理の欠如に目が向けられるようになってきた。しかし、たんに技術にあわせて法を整備するのはそうむずかしいことではなく、むずかしいのは倫理的な制限をおくことや価値の転換である。また、歴史的に確立された倫理は、外形的にはともかく、個々の技術の進歩のみによってたやすく変動をきたすものではない。この場合の具体的な基準を探る必要性は、ますます大きくなっている。



Share On