一橋教員の本

天皇制史論 : 本質・起源・展開

 
天皇制史論 

天皇制史論 : 本質・起源・展開

 水林彪
岩波書店   2006年10月刊行
ISBN:4000240226   本体3,800円+税
 著者紹介

著者コメント

本書は、一橋大学法学部における2005年度の日本法制史の講義をもとに、まとめたものです。法は、大づかみに、(a)支配者と被支配者の縦の関係(命令的関係、支配・従属関係)を規律する法と、(b)同輩者間の横の関係を規律する法、の二者から成りますが(aを公法、bを私法と呼ぶことがある)、本書は、このうち、aに照準を定めて、古代から現代までのこの国の法の歴史を概観したものです。
わが国における支配・従属関係は天皇制と不可分の形で展開してきましたので、書名は、「天皇制史論」ということにいたしました。その天皇制は、一見すると、特殊日本的な現象にみえます。しかし、私は、現象面の特殊性だけを記述する書物に終わらせたくないと思いました。その特殊性を、社会科学と比較歴史学の助けをかりて、普遍を媒介とした特殊として認識しようとつとめました。そのことを通じて、天皇制に対する、学問的な意味における「批判Kritik」を試みたいと思ったのです。
本書が、この国の法の特質や天皇制に関心を寄せる方々に、少しでも裨益することがあるならば、著者として、とても嬉しいのですが … 。



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