一橋教員の本
辞書の政治学 : ことばの規範とはなにか
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安田敏朗著 平凡社 2006年2月刊行 ISBN:458283311X 本体2,800円+税 | ||
著者紹介 |
著者コメント
ひとは一体なぜ辞書を引くのでしょうか。一見どうでもいいような問いです。本書ではま ず辞書編纂を偉業としてとらえる「物語」がなぜ発生するのかを、『広辞苑』の語られ方 を通じて分析します。そして「文明国標準」として辞書がとらえられた明治期、辞書が 「文化」を表象するもの、そして「日用品」として大衆化していく過程、さらには敗戦後 の小学校教育のなかで「辞書を引く」ことが「習慣化」されていく過程を追いました。近 における規範としての「国語」の成立と辞書の作成とが切り離されて考えられないとすれ ば、辞書(いまや電子辞書全盛ですが)を引くことの意味を考えることは身近にあるもの の政治性に気づくきっかけになると思います。