一橋教員の本
「イスラムvs.西欧」の近代
「イスラムvs.西欧」の近代 |
||
加藤博著 講談社 2006年3月刊行 ISBN:4061498320 本体700円+税 | ||
著者紹介 |
著者コメント
現在、毎日のように、イスラム教徒の過激な政治行動が報道されている。かれらは近代文明を拒否しているかにみえる。もちろん、近代文明を戦闘的に拒否しているのは、一部の過激なイスラム教徒である。しかし、そのかれらも、過激なイスラム教徒の主張に相通じる怒りと反発を秘めている。一部の過激なイスラム教徒を例外とし、一般のイスラム教徒と切り離しては、問題の解決にはならない。一体、かれらは近代文明の何に反発しているのか。どうして近代文明に反発するようになったのか。本書は、その答えを、19世紀エジプトの三人の知識人における近代観の変化に探り、西欧列強の植民地支配を背景とした、かれらのアイデンティティ危機の深化の過程として描いた。それは、近代がかれらの意識下においてトラウマ化する過程であった。