一橋教員の本
アメリカ帝国主義と金融
![]() 写真提供:こぶし書房 | アメリカ帝国主義と金融 |
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レオ・パニッチ, サム・ギンディン著 ; 渡辺雅男, 小倉将志郎訳 こぶし書房 2005年10月刊行 ISBN:4875591993 本体1,600円+税 | ||
訳者紹介:渡辺雅男 |
著者コメント
いわゆるグローバリゼーションが進展する中で、それがアメリカの政治的・経済的利害と密接に結びついたものであることは、今日立場の違いを超えて多かれ少なかれ一般的理解を得ている。原著者であるパニッチとギンディンは、本書『アメリカ帝国主義と金融(原著名"Finance and American Empire")』において、アメリカが主導する80年代以降の新自由主義的グローバリゼーションが、自由貿易を前面に押し出した「アメリカ帝国主義」の発現形態に他ならないことを明確に指摘している。そして本書で強調されるのは、「アメリカ帝国」の強さを維持し、その秩序に世界中を組み込んでいくうえで、アメリカの「金融」(ドルの持つ特権的地位、ウォール街の金融権力によるグローバル展開と金融革新、「危機」を管理・抑制する金融市場と金融規制当局の能力)が戦後一貫して強力な役割を果たしてきたことである。「帝国」と「金融」の相互強化関係を「アメリカ帝国主義」分析の鍵と捉える両著者の視点は、重要な示唆に富んでいる。(小倉将志郎)